恋路駅

恋路駅（こいじえき）

恋路駅は、かつて石川県鳳珠郡能登町に存在していたのと鉄道能登線の駅です。能登半島の北東部に位置し、周囲には心を打たれるような景観が広がる恋路海岸があり、その名からもロマンチックな印象を受けます。特に、急行「のと恋路号」の停車駅として多くの観光客を引き寄せ、恋愛や結婚を願う人々が訪れる場所として知られていました。

駅名の由来と切符の人気

恋路駅という駅名は、またの名をロマンを感じるものであり、訪れる人々の想いを象徴していました。営業中は「恋路駅行き」の切符が人気で、多くの来訪者が購入していました。しかし、この駅は無人駅だったため、切符は近隣の松波駅で発行されていました。現在では、宗玄酒造が駅跡地を保有しており、そこの酒造で記念切符を入手することができます。また、のと鉄道でも恋路駅行き切符を封入したキーホルダーを販売しています。

歴史を紐解く

恋路駅は1964年に仮停車場として開業し、その後1970年に臨時乗降場に変更されました。1987年には国鉄が分割され、JR西日本に引き継がれましたが、依然として臨時駅でした。1988年には第三セクターののと鉄道に移管され、通年営業の駅に昇格しました。しかし、2005年に能登線が廃止されると、恋路駅も廃駅となりました。

駅構内の様子

恋路駅は単式ホーム1面1線を有するシンプルな地上駅でした。無人駅ゆえに、ホームには待合所しか存在せず、ホーム自体は築堤上にあり、地上とは階段で結ばれていました。このため、駅の景観はどこか寂しげな印象を与えつつも、来訪者にとっては心に残る思い出となる場所でした。

現在の状況と復活への試み

廃止後、恋路駅の跡地は宗玄酒造に買収され、その後の利用方法に工夫が施されました。2009年、同社は海抜10メートルの宗玄トンネルを「隧道蔵」として活用し、酒製品の保護と熟成を図りました。また、2013年には、宗玄トンネルと旧恋路駅間に新たに線路を敷設し、「奥のとトロッコ鉄道」という観光鉄道を開通させ、訪れる観光客の楽しみの場としました。この企画は、グッドデザイン賞も受賞しました。

しかし、2024年1月1日に発生した能登半島地震により、恋路駅跡は大きな被害を受け、ホームや線路が損傷しました。これに伴い、旧恋路駅は9月から順次撤去されることになりました。

駅周辺の観光名所

恋路駅周辺には、恋路海岸や恋路海水浴場など、自然豊かな観光地が点在しています。また、北鉄奥能登バス「恋路浜」バス停など、廃駅後の最寄り交通機関も整備されています。体験交流施設「ラブロ恋路」や、幸せの鐘、弁天島も近隣にあり、観光客に親しまれています。国道249号も近くを通っていて、様々な観光を楽しむことができます。

恋路駅の存在は、今もなお人々の心に留まり、訪れる人々にとって特別な思い出の場所となっています。

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