恐怖の墓所

恐怖の墓所 (Tomb of Horrors)

「恐怖の墓所」は、ゲイリー・ガイギャックスがダンジョンズ&ドラゴンズ (D&D) 用に作成した、悪名高いアドベンチャーモジュールです。元々は熟練プレイヤーの腕試しとして、Origins 1 コンベンション向けにデザインされました。あまりの難易度の高さから、D&Dの歴史の中でも特に記憶に残る作品の一つとして知られています。

概要

このモジュールは、強力なアンデッドであるデミリッチ、アサーラックの墓を舞台としています。プレイヤーキャラクター (PC) たちは、アサーラックを倒すために、数々の罠やモンスターが待ち受ける危険な墓所を探索します。

プロット

プレイヤーは、邪悪な魔術師アサーラックが、アンデッドの形態であるデミリッチとして古代の墓に存在するという噂を耳にします。彼らは墓所に侵入し、様々な罠を回避しながら、アサーラックが潜む聖域を目指します。墓所には偽の入り口や、200本のスパイクが待ち受ける落とし穴、金銀の霧の洞窟など、多数の危険な遭遇が用意されています。プレイヤーはこれらの試練を乗り越え、デミリッチを打ち倒さなければなりません。

出版履歴

「恐怖の墓所」は、1975年のOrigins 1コンベンションのためにゲイリー・ガイギャックスによって書かれました。ガイギャックスは、当時の熟練プレイヤーたちのキャラクターの耐久性を試すために、このモジュールをデザインしました。

1978年には、TSR, Inc. によってAD&D第1版ルール用に改訂・出版されました。その後、1981年に再版され、1998年にはAD&D第2版ルール用の「Return to the Tomb of Horrors」の一部として再版されました。

ウィザーズ・オブ・ザ・コーストは、2005年にオリジナル版をアップデートしたバージョンをフリーダウンロードコンテンツとしてリリースしました。このアップデート版はD&D3.5版ルール用にデザインされたものです。また、「恐怖の墓所」はKeith Francis Strohmによって小説化され、2002年に「グレイホーク・クラシック・シリーズ」として出版されました。

2010年には、オリジナルの墓の伝説を拡大発展させたスーパーアドベンチャーと、オリジナルのモジュールをD&D第4版ルール向けに変換・アップデートしたものがリリースされました。2013年には、Sシリーズの全4作を収録したハードカバーコレクション「Dungeons of Dread」がリリースされました。

2017年には、第5版向けにアップデートされた「恐怖の墓所」がシナリオ集『大口亭綺譚』に収録されました。

評判と影響

「恐怖の墓所」は、2004年のダンジョン誌の「D&D歴代ベストアドベンチャー30」で3位に選ばれました。その難易度の高さから、多くのプレイヤーに衝撃を与え、後のD&D製品に大きな影響を与えました。

このモジュールは、モンスターとの戦闘よりも、パズルや罠の攻略に重点を置いている点が特徴です。死の罠を乗り越えるために、プレイヤーが自分たちの所有する牛を先に歩かせるというテクニックを使ったという逸話も残っています。

「恐怖の墓所」は、アーネスト・クラインの小説『ゲームウォーズ』（原題：Ready Player One）でも重要な役割を担っています。

「恐怖の墓所」は、その難易度と独創的なデザインから、D&Dの歴史において特別な地位を占める作品と言えるでしょう。

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