恐竜超世界

『恐竜超世界』は、NHKスペシャルで2019年7月に放送された恐竜ドキュメンタリー番組です。従来の恐竜番組とは一線を画し、最新のCG技術を駆使して、中生代の陸と海の世界をリアルに描き出しています。ナレーターは上白石萌音が務め、恐竜や古生物の生態を詳細に解説しています。この番組の特徴は、単なる恐竜紹介にとどまらず、それぞれの生物がどのように生きていたのか、その生活にストーリー性を持たせている点です。また、最新の研究成果を積極的に取り入れ、仮説に基づいた情報も積極的に紹介しています。

シリーズ構成

『恐竜超世界』は、2019年に2本、2023年に2本の計4本が放送されています。

第1集「見えてきた！ホントの恐竜」：陸の世界で繁栄した恐竜たちを特集。特にデイノケイルスやトロオドンといった、これまで謎に包まれていた恐竜に焦点を当て、羽毛の進化と繁栄の鍵を探ります。
第2集「史上最強！海のモンスター」：中生代の海で独自の進化を遂げた海棲爬虫類にスポットを当てます。モササウルスを中心に、海の世界の王者となるまでの経緯と胎生の秘密に迫ります。

2022年には、日本の恐竜研究に焦点を当てたスピンオフ作品『恐竜超世界 in Japan』が放送されました。さらに2023年には続編として『恐竜超世界2』が放送されています。

前編「巨大恐竜の王国 ゴンドワナ大陸」：かつて南半球に存在したゴンドワナ大陸に生息していた巨大恐竜たちを特集。プエルタサウルスやマイプなどの新種を紹介し、恐竜好きの少女ハルカのドラマを交えながら、ゴンドワナの恐竜の謎に迫ります。
後編「恐竜絶滅の“新たなシナリオ”」：恐竜絶滅の謎に迫る後編。隕石衝突後も恐竜が生き残っていた可能性を示唆する証拠をもとに、研究者たちが描く新たなシナリオを提示します。

登場生物

番組に登場する主な生物は以下の通りです。

第1集
デイノケイルス
トロオドン
タルボサウルス
アヴィミムス
第2集
モササウルス（プログナソドン）
スピノサウルス
シファクティヌス
『恐竜超世界2』前編
プエルタサウルス
マイプ
カルノタウルス
『恐竜超世界2』後編
プエルタサウルス
マイプ
* ステゴウロス

制作の舞台裏

番組制作にあたり、これまでの恐竜番組とは異なるアプローチが取られました。対象となる生物は北米ではなく、アジアや北極圏、そして海生爬虫類に焦点が当てられています。背景のCGは、ニュージーランドでロケを行い、アメリカでのロケが多い他の番組との差別化を図っています。恐竜のグラフィックは、骨格資料や現生鳥類を参考に制作され、1分にも及ぶアニメーションカットも制作されました。2023年の続編では、恐竜好きの少女ハルカを主人公としたドラマパートが挿入されています。ハルカ役を稲垣来泉が演じ、優香、田中直樹、原沙知絵といった俳優陣が脇を固めています。

音楽

挿入歌には、RADWIMPSの「tazuna」が使用されています。また、エバン・コールと木村秀彬が作曲した28曲からなるオリジナルサウンドトラックも制作されました。

反響と展開

番組のクオリティは高く評価され、特に精密で臨場感あふれる恐竜CG映像は視聴者から高い評価を得ました。放送後には、ナショナルジオグラフィック社から書籍版が発行され、番組ではカットされた詳細な解説が加えられています。サウンドトラックはApple Musicで配信されています。また、海外でも放送・配信され、高い評価を受けています。関連事業として、NHK Eテレの番組『ブレイクッ!』で恐竜図鑑企画が開催されたり、各地でトークショーやAR体験などのイベントも開催されています。さらに、国立科学博物館で開催された『恐竜博2019』では、番組で特集されたデイノケイルスが目玉展示の一つとなりました。

『恐竜超世界』は、従来の恐竜番組の枠を超え、科学的な視点とエンターテイメント性を両立させた画期的な作品です。恐竜好きはもちろん、幅広い視聴者層に支持され、恐竜に対する関心を高めることに貢献しています。

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