恩田貢

恩田貢の生涯

恩田貢（おんだ みつぐ、1927年6月15日 - 2003年1月31日）は、日本を代表するジャーナリストとして知られ、数々のスキャンダルを報じ、多くの事件を掘り起こした人物です。彼は東京都中野区で生まれ、宮内庁昭和天皇の侍従なった父親のもと、厳しい環境で育ちました。その影響もあり、彼は幼少期から強い責任感を持つようになりました。父の急死後、恩田は母と三人の妹、弟を支えるため、一家の大黒柱となりました。

彼は私立成城中学校・高等学校を通い、若いころに終戦を迎えた後は早稲田大学の政治経済学部へ進学し、作家を目指しました。卒業後は自衛隊の機関紙『朝雲新聞』に勤務し、社内で結婚も果たしました。

恩田は作家の梶山季之に師事し、阿佐ヶ谷の喫茶店を拠点に活動を開始しました。彼は梶山軍団の一員として、月刊『明星』の創刊に関与し、その後『週刊文春』の立ち上げにも参加します。特に有名なのは、皇太子と正田美智子の成婚をスクープしたことで、これがきっかけで彼の名声は広がります。この頃、恩田は「入江相政日記」にも度々名前が登場しています。

しかし、名声を築く一方で、そのキャリアには波乱も伴いました。防衛庁に関するスキャンダルを報じた記事が名誉棄損で裁判にかけられることとなり、それが理由で文芸春秋社を退社し、ビクトリー出版社を設立しました。これにより独立した恩田は、竹久みちを三越の岡田茂会長に紹介し、三越事件などをスクープ。さらにダグラス・グラマン事件や佐川事件など、多くの疑獄事件を追い続けました。「昭和のトップ屋」としての名を馳せた彼の功績は、多くの人々に認知されました。

しかし、彼の人生は順風満帆とは言えませんでした。映画監督の伊丹十三が襲撃された同じ日に、恩田自身も自宅前で暴漢に襲われ、重傷を負うことになりました。この事件は、彼が報じた記事による報復と考えられています。晩年には、師匠である梶山が手掛けていた『月刊噂』を復刊させますが、著作権に関する裁判に巻き込まれることになります。

さらには、彼は内外タイムス社の社長に就任し、経営の立て直しを図りますが、病に倒れます。大腸がんを患いながらも仕事を続け、6年間の闘病生活を経て、最終的には肺がんによりこの世を去ります。

恩田貢の人柄と広がる人脈

恩田は温厚な人柄で知られながらも、その人たらしの魅力で人脈を広げることに成功しました。特に週刊文春在籍時に児玉誉士夫に番記者として関わり、その人間関係を広げました。人当たりの良さと一対一での鋭い眼光とのギャップで、彼は周囲に独特の影響を与えていました。また、家族に対しても非常に思いやりのある人物であり、多くの人が彼に懐く独特の特技を持っていました。彼はマスコミ界において「裏情報の駆け込み寺」と称され、多くの人が彼に助けを求めていました。

書籍

恩田貢は、数冊の著書も残しています。これには、『暴かれた国際麻薬戦争 : 世界を蝕む白い兵器』（山手書房、1982年6月）、『黒幕の人生管理術 : 児玉誉士夫から何を読みとるか インサイド・レポート』（かんき出版、1982年7月）、『なぜ総理大臣なのか』（ぴいぷる社、1988年2月）などが含まれます。これらの著作では、彼の観察眼や取材力が色濃く反映されています。

恩田貢の人生は、多様な事件と深い人間関係が交錯する、波乱に満ちたものでした。彼の挑戦と功績は、今後も多くの人に語り継がれることでしょう。

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