恵那市自主運行バス

概要

恵那市自主運行バスは、岐阜県恵那市が運営する地域住民のための公共交通機関です。その歴史は恵那市が合併する以前に遡り、旧山岡町、旧明智町、旧岩村町、旧串原村、旧上矢作町といった各自治体が地域の実情に合わせて運行していたバス路線を継承したものです。これには、かつて東濃鉄道が運行していた路線の廃止代替バスや、各自治体の町営・村営バス、福祉バスなどが含まれます。

現在、恵那市自主運行バスの運行は、東濃鉄道、平和コーポレーション、明知鉄道の3社に委託されており、それぞれが特定のエリアや路線を担当しています。市内各地を結ぶ重要な交通網であり、恵那市域を越えて、瑞浪市内や、愛知県豊田市内に乗り入れる路線も一部存在します。

沿革

恵那市自主運行バスの前身となる各自治体のバス運行は、1990年代後半から本格化しました。特に、1995年4月には山岡町営バスが無料運行を開始。1998年10月1日には岩村町福祉バスと上矢作町営バスが運行を開始しています。その後、2002年11月1日には恵那病院シャトルバスや毛呂窪線といった新たな路線も登場しました。

大きな転換期となったのは、2004年10月25日の恵那市と恵那郡5町1村（山岡町、明智町、岩村町、串原村、上矢作町）の合併です。これにより、各自治体が運行していたバス路線が「恵那市自主運行バス」として統合されました。

合併後も路線の見直しや運行形態の変更が行われています。2006年10月1日には、それまで無料だった岩村地区と山岡地区の路線が有償化されました。2007年には、串原線の一部区間でデマンド方式が導入され、同年10月1日には山岡地区の運行事業者が変更されています。さらに、2009年10月1日には上矢作、串原、岩村、山岡の各地区で大規模な路線再編が実施され、利便性向上を図るため、商業施設への乗り入れや明知鉄道との接続時刻調整が行われました。この再編時には、串原線と上矢作線の運行事業者が東濃鉄道から平和コーポレーションへと変更されています。岩村地区の運行事業者も2010年10月1日にスカイ観光から平和コーポレーションへ変更されました。近年では、2023年4月1日に明智地区の2路線の運行事業者が東濃鉄道から明知鉄道へ変更されるなど、運行体制の最適化が続けられています。

運行情報

運行日

運行日は路線によって異なり、全ての路線が毎日運行しているわけではありません。主に平日を中心に運行される路線が多いものの、土曜日や休日が運休となる路線、土日祝日が全て運休となる路線、さらには週に一度（特定曜日）しか運行されない路線も存在するため、利用の際は事前の確認が必要です。

運賃

運賃体系も路線によって違いがあります。岩村東線・西線、および瑞浪＝山岡線を除く山岡地区の路線では、区間に関わらず一定額を支払う「均一運賃制」が採用されています。その他の多くの路線では、乗車区間の距離に応じて運賃が決まる「対キロ運賃制」、あるいは特定の区間やエリアで区切られた運賃が適用される「ブロック運賃制」が導入されています。

路線網

恵那市自主運行バスは、主に委託事業者ごとに担当エリアが分かれています。恵那駅を発着する多くの路線（丸池線、中野方線、飯地線、笠置線、毛呂窪線、藤線、三郷線、大洞循環線、椋実＝武並線、小野川線、元起線など）は、主に東濃鉄道が運行を担っています。

明知鉄道沿線では、明智駅を拠点とする阿妻＝横道線や明智＝峰山線が明知鉄道に委託されて運行されています。これらの路線の一部では、東濃鉄道バスへの乗り換えも可能です。

平和コーポレーションは、山岡地区、串原地区、上矢作・岩村地区など、広範なエリアで多くの路線を運行しています。瑞浪駅と山岡地区を結ぶ瑞浪＝山岡線や、山岡駅周辺の複数路線を担当。串原地区では、矢作ダムやささゆりの湯、明智駅などを結ぶ様々な路線が運行されています。上矢作・岩村地区では、岩村駅やバロー岩村店、上矢作病院などを結ぶ路線があり、一部路線は愛知県豊田市内のバス停を経由し、豊田市の地域バスとの乗り換えも可能となっています。

廃止路線

過去には、市町村合併の過程やその後の利用状況の変化に伴い、運行形態が見直され、廃止された路線も存在します。これには、恵那駅周辺の大洞団地循環ルートや、明智駅を発着していた一部路線などが含まれます。

恵那市自主運行バスは、地域住民の日常生活における移動手段として、また明知鉄道などの公共交通機関との連携を担う重要な役割を果たしています。

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