廃止代替バス

廃止代替バスとは

廃止代替バス（はいしだいたいバス）とは、既存の鉄道やバスなどの公共交通機関が廃止された場合に、その代わりとして運行されるバス路線を指します。このバス路線は、地域住民の移動手段を確保するために常時運行されることが前提です。

概要

廃止代替バスは主に、鉄道路線が廃止された後に運行されるバスと、既存のバス路線が廃止された際の代替バスに大別されます。特に過疎地域では、廃止された鉄道を運行していた会社の系列企業が運行する場合が多いです。しかし、利用者の減少に伴い、その運行も廃止され、地方自治体が新たにコミュニティバスとして運行する例が増えています。

2006年以前には、道路運送法の改正前の特定形態（旧21条バスや旧80条バス）での運行が行われることもありました。

なお、災害や事故、大規模な工事などで一時的に鉄道が運休する際にバスで補填することは「バス代行」と呼ばれ、これは廃止代替バスとは異なる扱いです。

鉄道廃止代替バス

鉄道廃止代替バスは、鉄道路線の廃止後にその区間をバスが運行する形態です。このため「転換バス」とも称されます。運行主体は地方自治体だけでなく、民間バス会社が行う例も多いです。既存のバス路線が運行されている場合、その路線が代替バスとして機能することもあります。

運賃は鉄道に比べて高くなることが多いため、自治体がその差額を補助することが一般的です。例えば、廃止された深名線においては、沿線の学生への配慮として定期運賃の差額を自治体が負担した事例があります。

廃止代替バスの運行検討時には、以前の鉄道の運行形態を考慮してバス路線が設定されることが多いですが、需要に合わずバス利用者が自家用車に流れるケースもあります。結果として、名鉄谷汲線の代替バスが廃止される事態が発生することもあります。

代替ルートの成功例

一方で、事前に利用者動向を十分に分析して運行を開始した場合、運行形態の見直しによって利便性が向上する可能性もあります。鉄道能登線や天北線がその例です。

軌道路線からの代替事例

1960年代から1970年代にかけて、全国各地で路面電車の廃止に伴う代替バスの運行が見られました。特に東京都電や横浜市電の廃止後は、それに代わって都営バスや横浜市営バスが運行を開始しました。

BRTによる代替事例

BRT（バス・ラピッド・トランジット）は、大量輸送システムの一種で、特に東日本大震災後にJRの大船渡線や気仙沼線でBRTとして運行が開始されました。また、日田彦山線の一部も同様にBRTが運行されています。

バス廃止による廃止代替バス

既存バス路線の廃止は、利用者減少や地域のバス事業者の撤退など様々な理由で発生します。特にモータリゼーションの進展と人口流出が影響を及ぼしています。これにより、一定の地域では廃止代替バスが運行されるようになりました。

廃止代替バスは有名な民営バスから自治体のコミュニティバスへの移行も見られ、運行主体の多様化が進んでいます。

船舶による廃止代替バス

鉄道やバスの廃止だけでなく、船舶の定期運航が廃止された際にも廃止代替バスが運行されることがあります。静岡県沼津市では、船舶の廃止に伴ってデマンド式乗合タクシーが運行開始されました。

参考文献

• - 鈴木文彦、加藤佳一ほか『僕たちの大好きな鉄バスたち 全国の鉄道廃線跡を走るバスを徹底追跡!』
• - 加藤博和「なぜ鉄道廃止代替バスは乗客を減らすのか？」
• - 長谷川直之ほか「サービス水準に着目した鉄道廃止代替バスの評価に関する研究」
• - 宮崎耕輔ほか「地方鉄道廃線後の転換バスの利用実態に関する一考察」
• - 進藤魁仁ほか「屋代線廃止代替バスの運行計画策定プロセスと利用実態の検証」

これらの文献は、廃止代替バスの理解を深めるための情報源となります。

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