恵隆寺

恵隆寺について

恵隆寺（えりゅうじ）は福島県河沼郡会津坂下町にある真言宗豊山派の寺院で、山号は金塔山です。本尊には十一面千手観音菩薩を祀っており、通称「立木観音」とも呼ばれています。この寺院は会津地域における重要な霊場の一つであり、会津ころり三観音の一つにも数えられています。

歴史的背景

恵隆寺の創建については諸説あり、古い文献『会津温故拾要抄』によると、欽明天皇元年（540年）に梁の僧・青岩が高寺山に庵を結んだとされています。その後、舒明天皇6年（634年）に僧・恵隆がこの寺に恵隆寺という名を付けたとのことです。また、『会津風土記』では大同3年（808年）に空海の意向を受け、坂上田村麻呂がこの寺を創建したとされています。しかし、いずれの記録も信憑性に欠けており、現在のところ、恵隆寺の正確な創設時期は不明とされています。

かつて恵隆寺はその周辺地域において大きな影響力を持ち、多くの堂宇を擁する一大伽藍でした。しかし時代の流れとともに、現在は仁王門、本堂、観音堂（立木観音堂）のみが残る状態です。

文化財の重要性

恵隆寺の文化財の中でも特に重要なのが観音堂です。この建物は「立木観音堂」とも呼ばれ、鎌倉時代、建久年間（1190年～1199年）に建立されたと伝えられていますが、1642年の地震で倒壊し、その後1617年に修理・再建が行われました。さらに、江戸時代や大正時代にも修理を受け、現在に至ります。観音堂は桁行5間、梁間4間の寄棟造りで、屋根は茅葺きになっています。内部には巨木で作られた円柱や重厚な板壁があり、本尊の十一面千手観音菩薩像や脇侍の二十八部衆像、風神・雷神像が安置されています。

また、観音堂内には42臂の千手観音像も置かれています。この木造千手観音立像は高さ8.5m、像高7.4mという大きさで、日本においても最大級の仏像として知られています。この像は一木から作られており、長い間「立木観音」という名で親しまれてきました。鎌倉時代の作品とされています。

周辺の魅力

恵隆寺の東側には、江戸時代に建てられた「旧五十嵐家住宅」が移築され、国家の重要文化財にも指定されています。また、西側には心清水八幡神社があり、訪問者は合わせて参拝することができます。

アクセスと拝観

恵隆寺はJR只見線の塔寺駅から徒歩25分の距離にあります。また、会津坂下駅からは車で5分、磐越自動車道の会津坂下インターチェンジからは車で10分ほどです。寺院の拝観時間は09:00から16:00までで、拝観料は300円です。歴史と文化が息づくこの場所を訪れ、多くの方々にその魅力を感じていただければ幸いです。

関連項目

恵隆寺は、日本の寺院一覧や春日八郎、心清水八幡神社といった他の文化財とも関連性があります。

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