悟空道

悟空道（ごくうどう）

『悟空道』は、山口貴由による日本の漫画作品。『西遊記』をモチーフとした、独創的な解釈と熱い展開が魅力のファンタジー漫画です。1997年9月から2000年3月まで『週刊少年チャンピオン』（秋田書店）で連載されました。

作品の特徴

本作は、『西遊記』の基本的なプロットを踏襲しつつも、作者独自の解釈とアレンジが加えられています。特に、作中のセリフやオノマトペに用いられる、当て字や特殊なルビ、極太文字といった演出は、フレーズを強烈に印象付け、作者独特の世界観を構築するのに大きく貢献しています。また、吹き出しを極力用いず、モノローグ形式で台詞が語られることが多く、それが作品全体に重厚感と独特のテンポ感を与えています。

あらすじ

物語の舞台は、神仙が住む「神界」、人間が住む「人界」、妖魔が住む「獄界」の三つに分かれた世界。獄界の王による人界侵攻を防ぐため、人界の帝は女僧・三蔵法師玄奘に、天竺へ赴き救世の経典を授かるよう命じます。三蔵は弟子の沙悟浄、猪八戒と共に、獄界へと続く人界の最終地「葬頭国」へ。そこで一行は、二つの世界を隔てる霊峰・五行山で、「自由」「平等」「博愛」を掲げる三妖怪に遭遇します。

絶体絶命のピンチに陥った三蔵一行は、かつて釈迦如来によって五行山に封じ込められていた“人外大魔猿”孫悟空と出会います。悟空は、自身を封じた如来の命に従い、三蔵たちを助けることを決意。封印を解き放たれた悟空は、妖怪たちを打ち破ります。獄界に足を踏み入れた一行は、「もう二度と同じ生き方はしない」と三蔵に弟子入りを懇願する悟空を仲間に加え、再び天竺を目指して旅を続けることになります。

物語の舞台

三界の位置関係は明確ではありませんが、東から西へ「人界」・「獄界」・「神界」が連なっているとされています。物語は、三蔵一行が葬頭国に到着した時点から始まります。

人界

長安（ちょうあん）: 人界の都。人界帝・大宗が居城とする「久遠紫禁城」があり、三蔵一行の動向を監視しています。
葬頭国（そうずこく）: 獄界への入り口。五行山があり、妖怪たちが旅人を襲います。

獄界

流砂界（りゅうさかい）: 獄界東端の砂漠地帯。かつては肥沃な土地でしたが、魔物によって砂漠化されました。
黙示国（もくしこく）: 廃墟が立ち並び、兎人たちが暴狂六義兄弟に苦しめられています。
不倫国（ふりんこく）: 艶天大聖 死鳥が支配する国。若い女性が愛妾候補として献上されます。
武器国（ぶきこく）: 西部開拓時代のアメリカのような世界観。紅孩児が支配し、武器を製造・販売しています。
精霊国（せいれいこく）: インディアン風の人間部族が暮らす国。酋王が紅孩児に追われました。
百鬼国（ひゃっきこく）: 黒水河が流れる国。王の犯海が復活を企んでいます。
滅法国（めっぽうこく）: 時代劇風の国。不死身の妖魔が人間を奴隷として支配しています。
通天河（つうてんが）: 海洋生物の姿をした妖魔が潜む巨大な河。主は巨大な亀の妖魔、水甕です。
傲来国（ごうらいこく）: 悟空の故郷。獅駝王に征服されました。
魔羅国（まーらこく）: 獄界の最終地。火焔山があり、魔王が潜んでいます。

神界

天竺（てんじく）: 西方極楽の地。凌雲渡を渡った先にあります。

主要登場人物

三蔵法師玄奘: 美しい女性の僧侶。慈愛に満ちた心の持ち主。
孫悟空: かつての獄界真王。五行山に封印されていました。
沙悟浄: 河童の半妖。三蔵に心酔しています。
猪八戒: 小柄な豚の半妖怪。ムードメーカー的存在。
千里馬: 三蔵の乗る賢い白馬。
* 觔斗雲: 乳房のある精霊。三蔵一行を乗せて空を飛びます。

単行本情報

全13巻が少年チャンピオン・コミックスから発売されています。（各巻のISBNコードは省略）

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