悪魔のささやき (トムとジェリー)

トムとジェリー短編アニメーション『悪魔のささやき』：詳細解説

1943年1月16日に公開された『悪魔のささやき』(Sufferin' Cats)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督によるトムとジェリーシリーズの短編作品です。本作は、トム、ジェリー、そしてトムの悪友であるフランキーの三者によるコミカルでスリリングな物語が展開されます。

ストーリー

物語は、トムがジェリーを捕まえ、釣り糸で吊るして遊ぶ場面から始まります。しかし、ジェリーは巧みに逃げ出し、偶然にもトムの悪友であるフランキーと出会います。ジェリーは二匹の猫から逃れるため、巧妙な策略を駆使して両者をうまく操ります。

トムとフランキーは、ジェリーを巡って激しい争奪戦を繰り広げます。互いに出し抜こうとあの手この手でジェリーを捕まえようとしますが、ジェリーは知略と機転で危機を回避し続けます。

やがて、トムとフランキーはついにジェリーを捕まえることに成功します。二匹は、ジェリーを半分ずつに分けて食べるという恐ろしい計画を立てます。フランキーがジェリーを押さえつけ、トムが斧でジェリーを真っ二つにしようとしますが、その瞬間、トムの脳裏に悪魔が現れ、ささやきかけます。

悪魔のささやきに従い、一度は躊躇したトムは、斧を振り下ろそうとしますが、斧の刃が柄から外れてしまい、計画は失敗に終わります。この失敗が原因で、トムとフランキーは激しい喧嘩を始めます。喧嘩の最中、二匹は庭の扉に体が挟まって身動きが取れなくなってしまうのです。

扉には「MAKE ALL DELIVERIES IN REAR(お届け物は後ろへ)」という文字が書かれており、ジェリーは板を持って現れ、二匹の尻を交互に叩き、痛烈な仕返しをするというオチで物語は幕を閉じます。

登場キャラクター

トム: ジェリーを捕まえようと躍起になりますが、フランキーとの争いにも巻き込まれ、最後は扉に挟まってジェリーに尻を叩かれる羽目になります。
ジェリー: トムとフランキーの争いを巧みに利用し、最後は痛快な仕返しで勝利を収めます。
フランキー: トムの悪友で、茶色の毛をした猫。トムと同様にジェリーを捕まえようとしますが、最後はトムと共に扉に挟まり、ジェリーに尻を叩かれます。
悪魔: トムの脳裏に現れ、フランキーを殺すようささやく謎めいた存在です。

スタッフ

監督: ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
製作: フレッド・クインビー (初公開版ではクレジット無し)
作画: ケネス・ミューズ、ピーター・バーネス、ジョージ・ゴードン、ジャック・ザンダー (初公開版では全員クレジット無し)
音楽: スコット・ブラッドリー (初公開版ではクレジット無し)

その他

フランキーという名前は、一部の翻訳での呼び名であり、『トムとジェリー ショー』では「ミートヘッド」と呼ばれています。また、1949年の再公開版ではエンドクレジットに変化が見られました。

本作は、1964年から1990年頃までTBS系および他系列でテレビ放映され、DVDにも収録されています。

まとめ

『悪魔のささやき』は、トムとジェリーの定番の追いかけっこに加え、トムの悪友フランキーという新たなキャラクターが登場することで、より複雑でユーモラスな展開を見せています。予測不能な展開と痛快なラストシーンは、何度見ても観る者を飽きさせない魅力を持っています。 猫とネズミのコミカルなやり取りと、悪魔のささやきという意外な要素が絶妙に絡み合い、シリーズの中でも特に記憶に残る一作と言えるでしょう。

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