クイーン+ポール・ロジャース

クイーン+ポール・ロジャース：伝説の継承と新たな挑戦

クイーン+ポール・ロジャースは、クイーンのギタリストであるブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラー、そして元バッド・カンパニーのボーカリスト、ポール・ロジャースによって2004年に結成されたロックバンドです。フレディ・マーキュリーの死後、クイーンとしての活動が長らく途絶えていた中、彼らは新たな音楽の可能性を追求しました。

結成の背景

1986年の「マジック・ツアー」以降、クイーンはツアー活動を停止し、フレディの死後はジョン・ディーコンが音楽業界から引退。ブライアンとロジャーはソロ活動を行っていました。2000年頃からチャリティコンサートなどでクイーン名義で共演していましたが、フレディの代わりとなるボーカリストを見つけることができず、本格的な活動再開には至りませんでした。

転機となったのは、2004年のフェンダー・ストラトキャスター50周年記念イベントでのブライアンとポールの共演でした。以前から親交のあった二人は、この共演で強いケミストリーを感じ、ロジャーも加えた3人でのコラボレーションを計画。英国音楽殿堂の授賞式で「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」、そしてフリーの「オール・ライト・ナウ」を演奏し、その手応えから2005年に「クイーン+ポール・ロジャース」としてワールドツアーを開始しました。

活動と評価

ポールはフレディとは全く異なるスタイルを持つボーカリストであったため、当初は一部から疑問の声も上がりました。しかし、ヨーロッパツアーのチケットは完売し、多くのファンからは熱狂的に迎えられました。同年9月にはライブアルバム『リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ』をリリース。10月には日本公演も実現し、さいたま、横浜、名古屋、福岡で10万人を動員。「手をとりあって」や「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」など、日本限定で演奏された楽曲もありました。

2006年初頭には、クイーンとしては1982年以来となる北米ツアーも敢行し、全世界20カ国66公演に及ぶツアーは大成功を収めました。この勢いに乗じて、8月には新曲のレコーディングを開始。

2008年9月には、デビューアルバム『ザ・コスモス・ロックス』を発表。「13年ぶりのクイーン最新作」として宣伝されましたが、ブルースロック色が強い内容であったため、ファンや評論家からの評価は賛否両論となりました。セールス面では全英5位と健闘したものの、期待されたほどの商業的な成功には至りませんでした。

アルバムリリース後、再び世界ツアーが行われましたが、再来日公演は実現しませんでした。

解散とその後

2009年5月、ポールは「クイーンとはもうやり尽くした」として、「クイーン+ポール・ロジャース」としての活動に終止符を打つことを発表。バッド・カンパニーの再始動に移行しました。ポールは、今後チャリティなどで再び共演する可能性を示唆しましたが、ロジャーは、ブライアンとポールの意見の相違が解散の原因であり、現状では再結成は難しいだろうと語っています。

メンバー

ポール・ロジャース（Paul Rodgers）: ボーカル、ギター
ブライアン・メイ（Brian May）: ギター、ボーカル
ロジャー・テイラー（Roger Taylor）: ドラム、ボーカル

ライブサポートメンバー

スパイク・エドニー（Spike Edney）: キーボード（元ブライアン・メイバンド、ザ・クロスのメンバー）
ジェイミー・モーゼス（Jamie Moses）: ギター（元ブライアン・メイバンドのメンバー）
ダニー・ミランダ（Danny Miranda）: ベース

ディスコグラフィー

オリジナルアルバム

『ザ・コスモス・ロックス』 - The Cosmos Rocks（2008年）

ライブアルバム

『リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ』 - Return of the Champions（2005年）

DVD

『リターン・オブ・ザ・チャンピオンズ』 - Return of the Champions（2005年）
『スーパー・ライヴ・イン・ジャパン』 - Super Live in Japan（2006年）
* 『ビッグ・ライヴ 2008 〜ライヴ・イン・ウクライナ』 - Live in Ukraine（2009年）


クイーン+ポール・ロジャースは、伝説的バンド、クイーンのメンバーが新たなボーカリストを迎えて挑んだプロジェクトであり、その活動は、往年のファンだけでなく、新たな世代のロックファンにも大きな影響を与えました。短い活動期間ではありましたが、彼らが残した音楽は、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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