想い出通り

想い出通り

南沙織の記念すべき15枚目のシングルとして、「想い出通り」（おもいでどおり）は1975年4月21日に、CBS・ソニーから世に送り出されました。この楽曲は、当時の人気作詞家である有馬三恵子と、数々のヒット曲を生み出した作曲家・筒美京平のコンビネーションによって制作されました。

楽曲について

この曲の大きな特徴の一つは、その歌詞にあります。有馬三恵子の筆致からは、「アイビールック」や「そこらのして歩いた」といった、リリースされた1970年代半ばの日本の世相や若者文化、街の情景を彷彿とさせる言葉が散りばめられています。これらのフレーズは、特定の時代の空気感を色濃く反映しており、聴く者に当時の風景を想像させます。

楽曲のアレンジは、萩田光雄が担当しています。彼にとって、南沙織のシングルA面曲を手掛けるのはこの「想い出通り」が初めての機会でした。萩田光雄による編曲は、楽曲に軽快で躍動感のあるリズムとサウンドをもたらし、筒美京平のメロディーラインを一層引き立てています。この明快なアレンジは、楽曲の持つノスタルジックなテーマと対比をなし、独特の魅力を創出しています。

シングルのカップリング曲には、「ご無沙汰」が収録されています。こちらも作詞は有馬三恵子、作曲は筒美京平と同じコンビによるものですが、編曲は筒美京平自身が手掛けています。A面曲とはまた異なる雰囲気を持つ楽曲となっています。

ミュージックビデオと収録

「想い出通り」にはミュージックビデオが存在します。この映像は、1984年11月21日に発売された南沙織のPV集『Hello!Cynthia』の中に収められています。ビデオでは、当時ウェーブがかったヘアスタイルをしていた南沙織の姿を見ることができ、楽曲と共に視覚的にも楽しめる貴重な記録となっています。

本楽曲は、その人気と代表性から、多くのアルバムやコンピレーション盤に収録されています。当時のベスト盤である『南沙織デラックス』や『南沙織ヒット全曲集』を始め、その後の『THE BEST / 南沙織』シリーズ、さらには『南沙織ベスト Recall 〜28 SINGLES SAORI + 1〜』、『Cynthia Memories』、『GOLDEN J-POP/THE BEST 南沙織|GOLDEN J-POP_THE BEST 南沙織』、『CYNTHIA ANTHOLOGY』、『GOLDEN☆BEST 南沙織 筒美京平を歌う』、『Cynthia Premium』など、CD時代に入ってからの様々な企画盤やボックスセットにも繰り返し収録されています。ライブ音源が『Good-bye Cynthia』や『CYNTHIA ALIVE』に収められていることもあります。これは、「想い出通り」が南沙織のキャリアを通じて重要な位置を占め、多くのファンに愛され続けている証と言えるでしょう。

カバー

「想い出通り」は、他のアーティストによってもカバーされています。例えば、川島なお美が1982年にリリースしたアルバム『ハロー!』の中で、この楽曲を自身の解釈で歌っています。

このように、「想い出通り」は、1975年の音楽シーンにおいて発表された一曲でありながら、当時の風俗描写、著名な作家陣による制作、そしてその後の多岐にわたるメディアでの展開を通じて、南沙織の代表曲の一つとして今なお多くの人々に記憶されています。

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