愚堂東寔

愚堂東寔（ぐどうとうしょく）

愚堂東寔は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した臨済宗の僧侶であり、大本山妙心寺の第百三十七世住持を務めました。その生涯は、禅の普及と人材育成に尽力し、多くの人々に影響を与えました。

生い立ちと出家

天正5年（1577年）に美濃国大森（現在の岐阜県山県市大森）で、父・伊藤紀内と母・斎藤氏の娘の間に生まれました。15歳で伊自良東光寺にて出家し、瑞雲に師事して禅の道を歩み始めました。

修行と印可

19歳になると、諸国を旅して各地の禅僧を訪ね、宇都宮興禅寺の物外や播磨国赤穂三友寺の南是などのもとで修行を重ねました。その後、妙心寺聖沢院の庸山景庸に師事し、「愚堂」の号を与えられて印可を受けました。この後、妙心寺住持を三度務めることになります。

臨済宗復興への貢献

愚堂は、荒廃していた臨済宗を復興させるために尽力しました。美濃国（岐阜県八百津町）の大仙寺、伊勢国（三重県伊勢市）の中山寺、そして江戸（東京都台東区）の正燈寺を開山し、多くの人々を教化しました。これらの寺院は、現在も臨済宗の重要な拠点となっています。

幅広い帰依者

愚堂は、その徳の高さを慕われ、後水尾天皇や徳川家光、保科正之、中院通村、春日局など、多くの公家や武家から帰依を受けました。また、剣豪として知られる宮本武蔵も、青年時代に妙心寺にいた愚堂のもとで参禅したと伝えられています。

晩年と没後

晩年は京都山科の華山寺で過ごし、寛文元年（1661年）10月1日に85歳で没しました。その翌年、朝廷から「大圓寶鑑國師」の諡号が贈られ、その功績が称えられました。

弟子

愚堂の弟子には、至道無難がいます。至道無難もまた、臨済宗の僧侶として活躍しました。

まとめ

愚堂東寔は、禅の教えを広く普及させただけでなく、多くの人々の心の支えとなった名僧です。その生涯は、現代においても多くの人々に感銘を与え続けています。彼の残した足跡は、禅宗の歴史において重要な位置を占めています。

もう一度検索