愛の狩人 (曲)

愛の狩人

『愛の狩人』（あいのかりうど）は、1976年（昭和51年）2月5日にリリースされた、歌手・平田満のソロデビューシングルです。俳優として知られる平田満とは同姓同名であり、この楽曲は歌手である平田満の代表的なヒット曲として知られています。累計でのシングル売り上げは10.1万枚を記録しました。

楽曲とスタイル

この楽曲の大きな特徴は、そのユニークな音楽性とスタイルにあります。しばしば「東北弁ラップの先駆け」と評されることがありますが、実際に使用されているのは北海道の方言です。アフロヘアにツイードのスーツというイタリアンスタイルで登場した平田満が、ファンキーなディスコサウンドをバックに北海道方言で語りかけ、サビの部分では正調の民謡を歌い上げるという、当時としては極めて斬新な構成となっています。編曲は土持城夫が手掛けており、渡辺宙明作品を彷彿とさせるようなグルーヴィーなサウンドが展開されます。

楽曲全体の構成は、ひとりの主人公が様々なシチュエーションで繰り広げる艶笑的なショートコントを連ねたような形式を採っています。このスタイルは、1950年代後半から1970年代前半にかけて流行した「イタリア式コメディ」映画の構造を下敷きにしていると指摘されています。

タイトルと文化的な影響

楽曲タイトル『愛の狩人』は、ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』（1967年）で知られるマイク・ニコルズ監督が1971年に発表した同名映画からの引用であることが明らかです。また、平田満のイタリア映画からの影響は、3枚目のシングル『もしもお許し願えれば女について話しましょう』のタイトルが、エットーレ・スコラ監督の映画『もしお許し願えれば女について話しましょう』（1964年）から採られていることからも窺えます。

シングルのB面に収録されている楽曲は『札幌 - 長崎 おんな達』です。このタイトルも、1975年11月22日に放映されたテレビドラマ『Gメン'75』の第27話『東京 - 札幌 刑事の道』（監督：鷹森立一）からインスパイアされたものです。さらに、このドラマの舞台となったクラブ「フレンチカンカン」（札幌市中央区）は、平田満がかつて率いていたバンド「原みつるとシャネル・ファイブ」がライブアルバム『シャネル・ファイブ・イン・サッポロ』（1975年）を収録した場所でもあり、深い繋がりがうかがえます。

クレジットとジャケット

作詞は本野丈弾が担当していますが、その正体は現在も不明です。作曲の金野孝は、札幌出身（生地は旧満州）の作曲家、浜圭介の本名です。楽曲の音楽出版社は日音です。

シングル『愛の狩人』のジャケット写真で用いられたテイクの別カットは、後に3枚目のシングル『もしもお許し願えれば女について話しましょう』のジャケットにも流用されました。なお、2枚目のシングル『東村山音頭』のジャケットはイラストでした。

現在の入手状況

残念ながら、このシングル自体や、本楽曲が収録されているアルバム『愛の狩人』（「平田満＋シャネル・ファイブ」名義、1976年）は現在CD化されていません。表題曲である『愛の狩人』のみ、過去にコロムビアファミリークラブから発売されたCD-BOX『ゴールデン歌謡大全集』に収録されていたことがありますが、現在このボックスはカセットテープでのみ提供されている状況です。

関連事項

本楽曲に関連する項目として、リリースされた「1976年の音楽」、楽曲の音楽性に関連する「フィラデルフィア・ソウル」といったジャンル、そして関連作品である「愛の狩人 (アルバム)」や、平田満が活動していた「原みつるとシャネル・ファイブ」などが挙げられます。

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