愛への讃歌

スティーヴン・スティルス「愛への讃歌」：時代を超えて愛される名曲

「愛への讃歌」（Love the One You're With）は、スティーヴン・スティルスが1970年に発表したソロデビューシングルです。クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング（CSN&Y）の活動と並行して制作され、彼のソロキャリアを確立する上で重要な作品となりました。

楽曲の誕生と背景

この曲は、1970年代半ば頃からCSN&Yのコンサートで演奏されていました。スティルスは同時期にソロ作品用としてロンドンでレコーディングを行い、同年11月に発売されたファースト・アルバム『Stephen Stills』に収録。アルバムからのシングルカットとしてリリースされました。B面には「トゥ・ア・フレイム（To a Flame）」が収録されています。

翌1971年1月30日から2月6日にかけて、ビルボードHot 100で2週連続14位を記録し、スティルスの名を広く知らしめました。

歌詞に込められたメッセージ

「And if you can't be with the one you love, love the one you're with（もし愛する人と一緒にいられないなら、今一緒にいる人を愛せ）」というフレーズが、この曲の核心をなしています。この印象的な言葉の起源には諸説あり、アップル・レコードに所属していたビリー・プレストン、あるいはドリス・トロイがスティルスに言った言葉であるという説が有力です。

また、1947年初演のブロードウェイ・ミュージカル『フィニアンの虹』の劇中歌「When I'm Not Near the Girl I Love」との類似性も指摘されています。「When I’m not near the girl I Love, I love the girl I’m near（愛する人がそばにいないときは、そばにいる人を愛す）」と歌われるこの曲との関連も興味深い点です。

参加ミュージシャン

「愛への讃歌」のレコーディングには、以下のミュージシャンが参加しています。

スティーヴン・スティルス - ボーカル、ギター、オルガン、スティール・ドラム、パーカッション
カルヴィン・サミュエルズ - ベース
ジェフ・ホイッテーカー - コンガ
リタ・クーリッジ、プリシラ・ジョーンズ、ジョン・セバスチャン、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ - バッキング・ボーカル

豪華なメンバーが、スティルスの音楽を支えています。

カバー・バージョン

「愛への讃歌」は、数多くのアーティストによってカバーされています。以下はその一部です。

アイズレー・ブラザーズ (1971年 アルバム『Givin' It Back』収録)
アレサ・フランクリン (1971年 アルバム『アレサ・ライヴ・アット・フィルモア・ウェスト』収録)
スプリームス&フォー・トップス (1971年 アルバム『Dynamite』収録)
エンゲルベルト・フンパーディンク (1971年 アルバム『 Live and S.R.O. at the Riviera Hotel, Las Vegas』収録)
ボビー・ゴールズボロ (1972年 アルバム『California Wine』収録)
ボブ・シーガー (1972年 アルバム『Smokin' O.P.'s』収録)
ザ・スリー・ディグリーズ (1975年 アルバム『So Much Love』収録)
ジョー・コッカー (1976年 アルバム『Live in L.A.』収録)
ルーサー・ヴァンドロス (1995年 シングル)
ウィル・ヤング (2003年 アルバム『Friday's Child』収録)
ガロ (2006年 ボックスセット『GARO BOX』収録)
ニルス・ラングレン&ジョー・サンプル (2006年 アルバム『Creole Love Call』収録)

これらのカバーバージョンからも、「愛への讃歌」が多様な音楽性を持つアーティストに影響を与え、幅広く愛されていることがわかります。

「愛への讃歌」は、シンプルなメッセージの中に普遍的な愛の形を表現した名曲として、これからも多くの人々に歌い継がれていくでしょう。

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