愛宕通旭

愛宕通旭（おたぎ みちてる）は、幕末の動乱期から明治初期にかけて活躍した公家、そして明治政府初期の官僚です。通称として愛宕大夫の名で知られています。

経歴

愛宕通旭は、山城国京都において、内大臣・久我建通の三男として生を受けました。その後、右近衛権中将・愛宕通致の養子となります。安政6年9月（1859年）には元服し、昇殿を許されるという、公家としての道を歩み始めました。慶応2年8月（1866年）には、朝廷刷新を目指した二二卿建議（廷臣二十二卿列参事件）に、養父である愛宕通致と共に名を連ねました。

慶応4年2月10日（1868年3月3日）には、軍防事務局親兵掛に任じられ、新政府の一員として活動を開始します。その後、参与職親兵掛、神祇官権判事、同判事を歴任しますが、明治2年5月20日（1869年6月29日）に実施された官員減員により、免官となりました。

免官後、愛宕通旭は王政復古後の急激な物価高騰や、政府高官の洋風化政策に強い反発を抱き、外山光輔と連携して政権の刷新を画策し、同志を募りました。しかし、同志の密告により、明治4年3月14日（1871年5月3日）に東京で捕縛されるという事態に陥ります（二卿事件）。そして同年12月3日、自尽を命じられるという悲劇的な結末を迎えました。

系譜

父：久我建通
母：不詳
兄：久我通久
弟：北畠通城
養父：愛宕通致
妻：愛宕致子（中院通富三女）

参考文献

修史局編『百官履歴』 上巻、日本史籍協会、1928年。
日本歴史学会編『明治維新人名辞典』吉川弘文館、1981年。
霞会館『平成新修旧華族家系大成』 上巻、吉川弘文館、1996年。
安岡昭男編『幕末維新大人名事典』上巻、新人物往来社、2010年。
* 宮地正人・佐藤能丸・櫻井良樹編『明治時代史大辞典 第一巻』吉川弘文館、2011年。

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