久我建通

久我建通（こが たけみち）

久我建通は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した公卿です。関白・一条忠良の息子として京都に生まれ、内大臣・久我通明の養子となりました。幼名は翠君、号は素堂と称しました。久我家34代当主として、激動の時代を生き抜きました。

生涯

文政5年（1822年）に叙爵し、以降、順調に昇進を重ね、天保5年（1834年）には正二位に、嘉永5年（1852年）には大納言に任じられました。安政元年（1854年）には議奏となり、朝廷と幕府の間で重要な役割を果たしました。特に、条約勅許問題や和宮降嫁問題など、幕末の重要な政治課題に関与しました。当時の朝廷内では、摂政や関白、武家伝奏よりも大きな影響力を持っていたとされ、俗に「権関白」と呼ばれたほどでした。

安政5年（1858年）には右近衛大将、文久2年（1862年）には内大臣・国事御用掛といった要職を歴任しましたが、攘夷派の反発を受け、弾劾されて失脚し、蟄居落飾処分となりました。しかし、明治元年（1868年）に赦免され、宮内省麝香間祗候や加茂社司、大教正、皇典講究所副総裁などを務め、明治22年（1889年）には従一位・勲一等に叙せられました。

明治維新後、久我建通は、廷臣八十八卿列参事件で中心的な役割を果たしたと述懐していますが、一方で、岩倉具視が中心であったとする記録もあり、この点については見解が分かれています。

系譜

父：一条忠良
母：細川富子（細川斉茲の娘）
養父：久我通明
養母：細川就（細川治年の娘）
正室：鷹司麗子（鷹司政通の娘）
側室：松島（後藤言中の娘）
長男：久我通久
その他子女
三男：愛宕通旭（愛宕通致養子）
四男：北畠通城（妻は石山基正の娘・正子）
女子：範姫（鷹司政通養女、前田慶寧継室）
三女：幸姫（松平茂昭正室）
男子：野宮定美（野宮定功の養子）
男子：東久世通暉（東久世通禧の養子、後に離籍）
養子：久我環渓（永平寺61世貫主）

栄典

1887年（明治20年）：従一位
1889年（明治22年）：勲一等瑞宝章
1903年（明治36年）：旭日大綬章

脚注

コトバンク - 久我建通



久我建通は、公家社会の中心人物として、また激動の時代を生き抜いた人物として、歴史に名を刻んでいます。その生涯は、日本の近代化を考える上で重要な視点を提供しています。

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