愛州

愛州（あいしゅう）は、かつて中国の王朝がベトナムに設置した州であり、現在のタインホア省タインホア市一帯に相当します。この地は、中国とベトナムの歴史が交錯する場所として、重要な役割を果たしてきました。

愛州の成立と変遷

愛州は、523年（普通4年）に南朝梁によって交州を分割して立てられました。州治は移風県に置かれました。この地域は、中国王朝の支配下で、政治、経済、文化の中心地として発展しました。

隋の時代に入ると、愛州は九真、移風、胥浦、隆安、軍安、安順、日南の7県を管轄するまでになりました。しかし、607年（大業3年）に州が廃止され郡が置かれると、愛州は九真郡と改称されました。

唐の時代になると、622年（武徳5年）に九真郡は再び愛州と改められました。その後、742年（天宝元年）には再び九真郡と改称され、758年（乾元元年）には再び愛州と改称されるなど、名称が頻繁に変更されました。愛州は九真、安順、崇平、軍寧、日南、無編の6県を管轄しました。

ベトナムの独立と愛州

930年、南漢が静海軍節度使の曲承美を捕らえ、交趾を制圧しました。しかし、931年には愛州の楊廷芸が南漢に叛き、交趾を制圧しました。これにより、中国王朝による北ベトナム支配（北属）は一時的に終わりを迎えました。愛州は、ベトナムの独立運動の拠点の一つとなり、その後の歴史に大きな影響を与えました。

その後

モンゴル軍が北ベトナムに侵入すると、愛州の地には清化府路が置かれました。その後、1407年（永楽5年）に明の永楽帝がベトナムに侵攻すると、愛州の地に清化府が置かれました。しかし、1427年（宣徳2年）に明軍が撤退すると、黎朝の統治下に入りました。

愛州は、中国王朝の支配下にあった時代から、ベトナムの独立運動の拠点となる時代を経て、その姿を変えていきました。現代においても、タインホア省タインホア市一帯は、ベトナムの歴史と文化を語る上で重要な場所となっています。

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