愛知紡績所

官営愛知紡績所

官営愛知紡績所は、明治時代前期に愛知県額田郡（現在の岡崎市）男川村に存在した官営の模範工場です。明治政府が西洋式紡績業を奨励するために設立した、日本で最初の綿糸紡績所として知られています。

歴史

当時、日本の紡績業は西洋に遅れを取っていました。そこで明治政府は、西洋式の紡績業を奨励するため、1878年（明治11年）に愛知県と広島県に模範紡績所の建設を開始しました。愛知紡績所では、1881年（明治14年）にイギリスから輸入したミュール精紡機をはじめとする紡績機械を導入し、操業を開始しました。

しかし、広島紡績所は開業前に民間に払い下げられてしまったため、愛知紡績所は唯一の官営紡績工場として、職工養成や技術伝習といった重要な役割を担うことになりました。

操業当初は72人の従業員がいましたが、1886年（明治19年）に篠田直方に払い下げられました。その後、1896年（明治29年）に火災が発生し、水車以外の建物が焼失してしまいました。

現在の状況

2012年（平成24年）現在、株式会社日本高分子岡崎工場の一角に、動力源であった横須賀造船所製のタービン水車を回すために乙川から引かれた導水路と、石積みの水車場が遺構として残っています。これらの遺構は、日本の近代化を支えた紡績業の歴史を今に伝える貴重な存在です。

参考文献

蜷川壽惠、毛利和夫、高山繁、中里裕司、野呂肖生 著、全国歴史教育研究協議会 編『改訂版日本史B用語集』（改訂版）山川出版社（原著2009-3-30）。ISBN 978-4634013025。
官営の愛知紡績所遺構

外部リンク

* アジア歴史資料センター - 国立公文書館

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