愛知電気鉄道電3形電車

愛知電気鉄道電3形電車について

愛知電気鉄道の電3形電車は、1921年に導入された制御電動車であり、愛知電気鉄道（愛電）が輸送力増強を目的に設計した初のボギー構造を持つ車両です。「電3形」という名は、同社が保有する車両の中で初めて2軸ボギー台車を採用したことに由来します。また、間接制御装置の導入により、総括制御が可能となったこともこの車両の大きな特徴です。

導入の経緯

愛知電気鉄道は、同社の常滑線の複線化工事が進んだことにより、6両の電3形電車を1921年5月に導入しました。番号はデハ21からデハ27までが付与され、デハ25は過去の事故を理由に欠番とされました。翌年1922年には、電4形が導入され、車体が長くなり、荷物室も備えた客貨合造車として設計されたことが注目されます。

車体の特長

電3形は、全長が約13.6メートル、幅が約2.6メートルの木造二重屋根構造を採用しており、丸妻形状の前面に5枚の窓を備えています。両運転台構造を採用し、前後の車両端部に各1基の前照灯がかつて設置されていましたが、後年には屋根上中央部に移設されました。電4形は更に車体が延長され、客用扉の配置が異なるため、窓の配置も多少変更されています。これにより、より広い客室と荷物室を確保した事になります。

主要機器と運用

両車両に搭載されている電装品の多くは、米国のウェスティングハウス社製のもので、愛電の標準仕様として後世に影響を与えています。電3形の制御装置は間接制御方式で、当初は主電動機は直流電動機が4基、各軸に搭載され、特に耐荷重の向上が求められました。電4形においては、直接制御方式に変更されましたが、後に間接制御に改造されて運用が行われることもありました。

導入当初、電3形と電4形は、名鉄の幹線で運用を開始し、後に電圧の変更を経て西尾線へと集中配置されたのです。1947年には蒲郡線の電化に伴い、運用範囲が広がりましたが、経年劣化も進み、1964年に全車廃車となってしまいました。

名鉄への編入

1935年に愛電が名岐鉄道と合併し、名古屋鉄道が発足した際、電3形と電4形は全車名鉄に継承されました。名鉄籍となった後は、形式名が改訂され、名鉄における新たな番号が付与されました。その後、全車両が荷物室や郵便室を撤去し、全室の客室化が行われ、時代に合わせた改修が続きましたが、老朽化が進む中、最終的に全車両が1964年に運用を終了しました。

結論

愛知電気鉄道の電3形と電4形は、ボギー車両の導入による新たな可能性を開くとともに、名古屋鉄道としての歴史においても重要な役割を果たしました。これらの車両は、地方鉄道の発展や近代化に貢献し続けたという点で貴重な存在だったと言えます。

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