慕容瑤

慕容瑤（ぼよう よう）は、五胡十六国時代の西燕の第4代皇帝であり、初代皇帝である慕容沖（ぼよう ちゅう）の子です。一部の史書、例えば『魏書』においては、慕容望（ぼよう ぼう）と表記されることもあります。

生涯

慕容瑤の父、慕容沖は、かつて前秦（ぜんしん）から長安（ちょうあん）を奪い、西燕（せいえん）を建国しました。しかし、慕容沖自身は長安に留まりたいと考えていたものの、故郷である鮮卑（せんぴ）の地へ帰還を望む部下たちの強い反発に遭い、最終的には殺害されるという事態に陥りました。

父の死後、西燕は混乱期を迎えます。建明元年（386年）、長安を離れて鮮卑の故地を目指していた慕容凱（ぼよう がい）が、慕容韜（ぼよう とう）によって殺害されるという事件が起こります。この混乱の中で、慕容瑤は慕容韜の兄である左僕射（さぼくや）慕容恒（ぼよう こう）の支援を受け、皇帝として即位し、建平（けんぺい）と改元しました。

しかし、慕容瑤は皇帝としての資質に欠けていたのか、人心を掌握することができませんでした。そのため、即位から程なくして、尚書（しょうしょ）の慕容永（ぼよう えい）によって囚われの身となり、最終的には殺害されるという結末を迎えました。

慕容瑤の治世は非常に短く、西燕の歴史においても大きな影響を与えることはありませんでしたが、五胡十六国時代の混乱と権力闘争を象徴する人物の一人と言えるでしょう。彼の短い生涯は、当時の政治情勢の不安定さと、人々の思惑が複雑に絡み合っていたことを物語っています。



脚注

『晋書』巻108～111、巻123～128に基づく。

もう一度検索