慕容盛

慕容盛：後燕を率いた猜疑心の強い皇帝

慕容盛（ぼよう せい、373年 - 401年）は、五胡十六国時代の後燕の第3代皇帝です。父は第2代皇帝の慕容宝、祖父は後燕の創始者である慕容垂。激動の時代に翻弄されながらも、その才覚で皇帝の座に上り詰めましたが、猜疑心の強い性格が災いし、短期間で暗殺されました。

生涯

前秦から後燕へ

慕容盛は、前秦の部将であった父・慕容宝と丁太后の間に生まれました。祖父の慕容垂が後燕を建国すると、慕容盛もその後継者候補の一人として成長します。しかし、西燕への亡命、後燕への帰還など、幼少期から政争に巻き込まれることになります。

慕容宝の時代

父・慕容宝が即位すると、後継者争いが勃発。慕容盛は、慕容宝が溺愛する慕容策を太子に推しますが、これが後の悲劇につながります。北魏の侵攻、慕容麟の反乱など、後燕は内憂外患に苦しみ、慕容盛もその対応に奔走します。

皇帝即位

蘭汗のクーデターにより父・慕容宝が殺害されると、慕容盛は蘭汗を討ち、皇帝に即位します。しかし、その治世は猜疑心に満ちたものでした。多くの臣下を粛清し、恐怖政治を敷いたため、国内の不満が高まります。

治世と最期

慕容盛は、法を厳格に運用し、自ら裁判を行うなど、有能な一面も持ち合わせていました。また、高句麗への侵攻を成功させるなど、軍事的な才能も発揮しています。しかし、その猜疑心の強さから、多くの謀反を招き、401年に暗殺されました。享年29歳。

治世の特徴

厳格な法治: 10日に1度は自ら裁判を行い、拷問に頼らずに多くの事情を把握したとされます。しかし、その厳格さが反発を招き、多くの粛清につながりました。
軍事的な才能: 高句麗への侵攻を成功させ、領土を拡大するなど、軍事的な手腕を発揮しました。
猜疑心の強い性格: 常に周囲を疑い、多くの臣下を粛清したため、国内の不満が高まりました。

慕容盛の死後

慕容盛の死後、叔父の慕容熙が皇帝に即位。しかし、慕容熙もまた暗愚な君主であり、後燕は急速に衰退していきます。慕容盛の短い治世は、後燕の命運を左右する重要な転換点となりました。

宗室

祖父: 慕容垂
父: 慕容宝
正妻: 蘭氏（蘭汗の娘）
* 子: 慕容定

まとめ

慕容盛は、その才覚で皇帝の座に上り詰めたものの、猜疑心の強い性格が災いし、短期間で暗殺された悲劇の君主です。彼の治世は、後燕の衰退を早めることとなり、歴史に大きな影響を与えました。

もう一度検索