慕容超

慕容超（ぼよう ちょう）は、五胡十六国時代の南燕の第2代にして最後の皇帝です。

生涯

前燕が前秦によって滅ぼされた後、父の慕容納は前秦に仕えましたが、後に張掖に移りました。慕容納の弟である慕容徳は、前秦の苻堅の命令で東晋討伐軍に参加しました。淝水の戦いで前秦が敗北すると、慕容納・慕容徳兄弟は、兄の慕容垂が自立した後燕政権に参加しました。しかし、慕容納と慕容徳の息子たちは殺害されました。

当時、慕容納の妻であった段氏は妊娠していたため死刑を免れ、投獄されました。獄卒の呼延平は、以前慕容徳に助けられたことがあり、その恩義に報いるために段氏の羌（後秦）への逃亡を助け、段氏は慕容超を出産しました。

その後、後涼に逃れましたが、後涼が後秦に滅ぼされると長安に移りました。そこで慕容超は呼延平の娘と結婚しました。後秦の疑いを避けるため、慕容超は精神異常者のふりをして物乞いをして暮らしました。当時、南燕を建国して皇帝となっていた叔父の献武帝慕容徳がこのことを聞きつけ、迎えの使者を派遣しました。南燕に到着した慕容超は北海王に封じられました。

405年、献武帝の崩御に伴い皇帝に即位し、太上と改元しました。即位後は、信頼していた公孫五楼の讒言を聞き入れ、功臣をことごとく粛清し、また享楽にふけり民衆を苦しめたと史書に記されています。

407年、生母の段氏と正妃の呼延氏が後秦に留まっていたため、後秦の藩鎮を称し、生母と正妃の送還を実現しました。後秦に臣従した後、慕容超は南進して淮北を攻撃し、東晋に対抗しようと計画しました。しかし、409年に東晋の将軍劉裕の軍勢によって反撃を受け、翌年には都である広固（現在の山東省青州市）が陥落し、慕容超は捕虜となり、東晋の都である建康（現在の江蘇省南京市）に送られ斬首されました。これにより南燕は滅亡しました。

参考史料：『晋書』巻108～111、巻123～128

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