成ヶ島

成ヶ島（なるがしま）

成ヶ島は、兵庫県洲本市由良町の東側に位置し、紀淡海峡に南北に約2.5kmにわたって続く細長い島です。この島は瀬戸内海国立公園の一部を構成し、別名「淡路橋立」とも呼ばれています。

地理とアクセス

成ヶ島は、北端の新川口と南端の今川口の水路を挟んで淡路島から約100mの距離にあります。由良港からは約2分で渡し船が運航しており、アクセスが非常に便利です。島の西側、由良湾内ではハマチの養殖が行われており、春には潮干狩りでアサリなどの貝類を採ることができます。

自然と生態系

北端の成山（標高52m）と南端の高埼（標高23m）は昔は陸繋島であり、江戸時代初期までは淡路島と砂州で繋がっていました。由良湾の湾口は、この2つの間に位置しており、現在は両端の水路が開削され、かつての湾口は閉じられたことで、成ヶ島は特徴的なバリアー島として存在しています。島の面積は約39ha、海岸線の長さは約6.4kmに及びますが、成山と高埼の間の最狭部は25mと非常に狭いです。

成ヶ島の西側には干潟が広がり、希少な海浜植物や生物が生息しています。特に、ハクセンシオマネキという絶滅危惧種のカニや、アオイ科の落葉低木「ハマボウ」、寄生植物の「ハマウツボ」などが確認されています。また、アカウミガメが砂地に上陸して産卵する姿も観察されています。このような貴重な生態系は、瀬戸内海国立公園の第2種特別地域に指定されており、保全活動が行われています。具体的には、砂州の侵食防止のための護岸堤の整備や、「成ヶ島クリーン作戦」として地域住民が漂着ゴミの回収を行っています。

歴史的背景

成ヶ島の歴史は古く、慶長16年（1610年）には池田忠雄が洲本城を廃し、由良成山城を修築しました。その後、寛永12年（1635年）には蜂須賀忠英が再び洲本城へ移しました。また、18世紀には北側の新川口と南側の今川口が切り開かれ、成ヶ島の現在の姿が形成されました。

明治29年（1896年）には由良要塞が開設され、成山第一砲台、第二砲台、高碕砲台が設置されましたが、大正13年（1924年）に要塞の整理によりこれらの施設は廃止されました。昭和61年（1986年）には国民宿舎「成山荘」が閉鎖され、現在は自然観光地としての側面が強まっています。

交通情報

成ヶ島へのアクセスは、由良港からの渡船を利用するのが一般的です。運航は朝8時から午後5時までの時間帯で、1時間に1便のペースで運行されています。料金は大人300円、小学生以下200円と手頃で、季節によって潮干狩りシーズンには臨時運航も行われることがあります。由良港へのアクセスは、洲本高速バスセンターから淡路交通のバスを利用し、「由良支所前」で降車後、徒歩数分の距離となっています。

成ヶ島はその独自の地形や豊かな自然環境から、訪れる人々に親しまれる島です。海水浴や潮干狩りを楽しむことができ、また自然観察にも適したスポットとして知られています。

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