戒能民江

戒能民江のプロフィール

戒能 民江（かいのう たみえ、1944年9月13日生まれ）は、日本の法学者として、家族法と法女性学の分野で著名です。彼女はお茶の水女子大学の名誉教授であり、過去には民主主義科学者協会の法律部会で理事を務めました。彼女のキャリアの中で、2002年に山川菊栄賞、2006年に平塚らいてう賞、2023年に朝日賞を受賞するなど、多くの栄誉を受けています。

来歴

戒能氏は1944年に満州国で生まれ、1967年に早稲田大学第一法学部を卒業しました。その後、1969年に早稲田大学大学院法学研究科の修士課程を修了し、1973年には博士課程を満期退学しました。彼女は1991年に東邦学園短期大学で助教授として教育に携わり、1996年から教授に昇進しました。続いて、1999年にお茶の水女子大学生活科学部の教授に就任します。お茶の水女子大学で長年にわたり多くの役職を歴任し、2011年に退職後は名誉教授となっています。

戒能氏は1992年、日本で初めてとなるドメスティックバイオレンスに関する実態調査を実施しました。また、内閣府男女共同参画会議の調査会委員としても活動するなど、社会に多大な貢献をしています。

家族

彼女は、義理の父である戒能通孝や、息子の戒能通弘（同志社大学教授）を持つ家庭出身です。夫も戒能通厚（名古屋大学名誉教授）という学者であり、法の専門家としても知られています。彼女は、選択的夫婦別姓制度を推進するための民法改正運動に関わり、難しい問題を抱える女性の支援に向けた法律制定の座長も務めています。

主張と研究

戒能氏は、しんぶん赤旗のインタビューにおいて、選択的夫婦別姓制度について日本の法制度が個人の尊厳を法的に尊重する仕組みを欠いていると指摘しています。彼女は、EUやアジア諸国が多様な生き方を可能にする法制度を整備している中で、日本が取り残されていると懸念を示しています。同時に、親子断絶防止法案には反対の立場を取っています。

学会所属と活動

戒能氏は多くの学会に所属しており、日本学術会議の会員を務めるほか、ジェンダー法学会の初代理事長や、日本法社会学会の理事として活動しています。また、日本女性学会や比較家族史学会など、さまざまな学会において代表としての役割を果たしてきました。

著書・論文

彼女の著作は多岐にわたり、以下のような作品があります:

• - 『ゼミナール婚姻法改正』（1995年、日本評論社）
• - 『法女性学への招待』（1996年、有斐閣）
• - 『ドメスティック・バイオレンス』（1998年、有斐閣）
• - 『ジェンダーで社会政策をひらく』（1999年、ミネルヴァ書房）
• - 『ドメスティック・バイオレンス防止法』（2001年、尚学社）

さらに、彼女は貴重な論文をも数多く執筆しており、法律やジェンダーに関する重要な視点を提供しています。戒能民江は、その活動を通じて日本の法学界と社会における女性の地位向上に貢献している法学者です。

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