戸上電機製作所
佐賀県佐賀市に本社を構える株式会社戸上電機製作所（Togami Electric Mfg.Co.,Ltd.）は、日本を代表する電機機器メーカーの一つである。1925年の創業以来、電力関連機器を中心に様々な電気機械器具の製造・販売を手掛けており、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場している（証券コードは6643）。
同社の歴史は、1925年に創業者である戸上信文氏によって株式会社戸上電機製作所が設立されたことに始まる。事業拡大とともに販売網を全国に広げ、1926年には東京に、1930年には大阪に、1934年には広島に、1949年には福岡に、1952年には札幌に、1960年には仙台に、そして1963年には高松にそれぞれ営業拠点を設けている。この間、1931年にはかつてグループ企業であった日本タングステンが合名会社として独立している。企業の成長は続き、1961年には東京証券取引所市場第二部への上場を果たす。また、同年には天皇・皇后両陛下が来社されるという栄誉にも浴している。経営体制では、1967年に二代目社長に戸上一氏、1993年に三代目社長に戸上信一氏が就任し、時代の変化に対応しながら事業を推進してきた。関連会社の設立も進められ、1977年には株式会社戸上コントロール、1989年には株式会社戸上電機ソフトが誕生している。品質管理体制の強化として、1995年にはISO9001認証を、2000年にはISO14001認証を取得した。創業からの節目である70周年（1995年）、80周年（2005年）、90周年（2015年）には記念事業や海外展開の動きが見られ、2005年には中国・上海に事務所を開設し、翌2006年には中国・蘇州に戸上電気（蘇州）有限公司を設立するなど、グローバル市場への進出も積極的に行っている。近年では、2018年に株式会社戸上コントロールが佐賀市内の久保泉町に移転。そして2024年12月には、本社・工場敷地内に現存する本館建物が国の登録有形文化財として登録されるという歴史的な出来事を迎えた。
電機メーカーとして、同社は配電制御機器、産業用スイッチ、表示機器など、電力の安定供給や産業分野の自動化に不可欠な製品群を主力としていると考えられる。子会社である戸上コントロールや戸上電機ソフトとの連携により、単体製品だけでなく、制御システムや関連ソフトウェアを含めたソリューション提供能力も有している。2000年に電子制御器工場が完成したことは、電子技術を応用した製品開発への注力姿勢を示している。
事業所としては、佐賀の本社のほか、全国主要都市に営業拠点を配置し、販売・サービス網を構築している。グループ会社は国内に株式会社戸上メタリックス、株式会社戸上化成、株式会社戸上デンソー、株式会社戸上コントロール、株式会社戸上電機ソフト、東京戸上電機販売株式会社があり、それぞれ金属加工、合成樹脂加工、電装品、制御機器システム、ソフトウェア開発、販売といった専門分野を担っている。海外においては、中国の蘇州と常熟に子会社を有し、アジア市場を中心とした事業展開を進めている。
企業としての社会貢献活動にも力を入れており、特にスポーツ振興を通じたCSR活動を積極的に行っている。社内には陸上競技部、軟式野球部、バレーボール部があり、社員の健全な心身の育成とともに、地域社会との連携を深めている。これらの活動は高く評価され、2015年3月には佐賀県から「佐賀県スポーツ功労賞功労団体賞」を受賞している。陸上競技部は強豪ひしめく実業団駅伝にも参戦し、2018年の九州実業団毎日駅伝競走大会で8位入賞を果たし、2019年1月1日には日本のトップチームが出場する全日本実業団対抗駅伝競走大会（ニューイヤー駅伝）に初めて出場するなど、その活動の成果は着実に現れている。
同社の敷地内には、企業の歴史を今に伝える象徴的な建造物である本館が現存する。この木造3階建て洋風建築は、会社が設立された1925年（大正14年）8月に建設され、1938年（昭和13年）に2階建てから3階建てへの増築、さらに両側面への増築が行われた。創業100周年を控えた2023年には、昭和中期頃の姿への維持復元を主眼とした大規模な改修工事が完了し、外壁や内部の補修、耐震補強が施された。現在も会社の管理部門の建物として現役で使用されている。本館は建築的にも特徴的な要素を多数備えている。外壁は黄褐色の磁器製タイル張りで、二丁掛サイズのタイルが用いられているため、遠目には煉瓦造りのような重厚な印象を与える。耐震改修の際には、タイルを一枚ずつ丁寧に剥がし、耐震壁を設置した後に元のタイルを再利用するという配慮がなされた。また、内部の耐震強化では、意匠性を損なわずに強度を増すため、十文字の木格子壁が採用されている。建物の正面部分も目を引く意匠であり、特に南側に張り出した玄関部分は、腰壁がタイル張り、上部はモルタル仕上げとなっている。玄関上部には、モルタル仕上げの4本のリブ状の付柱が2階から3階を貫いて突き出している。窓は木枠の上げ下げ窓が基本だが、3階部分には優雅なアーチ窓が配されている。基礎部分には煉瓦が使われている点も特徴である。この本館建物は、歴史的、建築的価値が認められ、2002年度に佐賀市景観賞を受賞、2023年に佐賀県遺産に認定され、そして2024年12月にはついに国の登録有形文化財に登録されるに至った。また、本館とともに、1938年に建設された木造平家建・洋小屋トラス組の第二工場も、過去の近代化遺産調査報告書において、会社の近代化過程を示す建物として言及されている。
同社の歴史は、1925年に創業者である戸上信文氏によって株式会社戸上電機製作所が設立されたことに始まる。事業拡大とともに販売網を全国に広げ、1926年には東京に、1930年には大阪に、1934年には広島に、1949年には福岡に、1952年には札幌に、1960年には仙台に、そして1963年には高松にそれぞれ営業拠点を設けている。この間、1931年にはかつてグループ企業であった日本タングステンが合名会社として独立している。企業の成長は続き、1961年には東京証券取引所市場第二部への上場を果たす。また、同年には天皇・皇后両陛下が来社されるという栄誉にも浴している。経営体制では、1967年に二代目社長に戸上一氏、1993年に三代目社長に戸上信一氏が就任し、時代の変化に対応しながら事業を推進してきた。関連会社の設立も進められ、1977年には株式会社戸上コントロール、1989年には株式会社戸上電機ソフトが誕生している。品質管理体制の強化として、1995年にはISO9001認証を、2000年にはISO14001認証を取得した。創業からの節目である70周年（1995年）、80周年（2005年）、90周年（2015年）には記念事業や海外展開の動きが見られ、2005年には中国・上海に事務所を開設し、翌2006年には中国・蘇州に戸上電気（蘇州）有限公司を設立するなど、グローバル市場への進出も積極的に行っている。近年では、2018年に株式会社戸上コントロールが佐賀市内の久保泉町に移転。そして2024年12月には、本社・工場敷地内に現存する本館建物が国の登録有形文化財として登録されるという歴史的な出来事を迎えた。
電機メーカーとして、同社は配電制御機器、産業用スイッチ、表示機器など、電力の安定供給や産業分野の自動化に不可欠な製品群を主力としていると考えられる。子会社である戸上コントロールや戸上電機ソフトとの連携により、単体製品だけでなく、制御システムや関連ソフトウェアを含めたソリューション提供能力も有している。2000年に電子制御器工場が完成したことは、電子技術を応用した製品開発への注力姿勢を示している。
事業所としては、佐賀の本社のほか、全国主要都市に営業拠点を配置し、販売・サービス網を構築している。グループ会社は国内に株式会社戸上メタリックス、株式会社戸上化成、株式会社戸上デンソー、株式会社戸上コントロール、株式会社戸上電機ソフト、東京戸上電機販売株式会社があり、それぞれ金属加工、合成樹脂加工、電装品、制御機器システム、ソフトウェア開発、販売といった専門分野を担っている。海外においては、中国の蘇州と常熟に子会社を有し、アジア市場を中心とした事業展開を進めている。
企業としての社会貢献活動にも力を入れており、特にスポーツ振興を通じたCSR活動を積極的に行っている。社内には陸上競技部、軟式野球部、バレーボール部があり、社員の健全な心身の育成とともに、地域社会との連携を深めている。これらの活動は高く評価され、2015年3月には佐賀県から「佐賀県スポーツ功労賞功労団体賞」を受賞している。陸上競技部は強豪ひしめく実業団駅伝にも参戦し、2018年の九州実業団毎日駅伝競走大会で8位入賞を果たし、2019年1月1日には日本のトップチームが出場する全日本実業団対抗駅伝競走大会（ニューイヤー駅伝）に初めて出場するなど、その活動の成果は着実に現れている。
同社の敷地内には、企業の歴史を今に伝える象徴的な建造物である本館が現存する。この木造3階建て洋風建築は、会社が設立された1925年（大正14年）8月に建設され、1938年（昭和13年）に2階建てから3階建てへの増築、さらに両側面への増築が行われた。創業100周年を控えた2023年には、昭和中期頃の姿への維持復元を主眼とした大規模な改修工事が完了し、外壁や内部の補修、耐震補強が施された。現在も会社の管理部門の建物として現役で使用されている。本館は建築的にも特徴的な要素を多数備えている。外壁は黄褐色の磁器製タイル張りで、二丁掛サイズのタイルが用いられているため、遠目には煉瓦造りのような重厚な印象を与える。耐震改修の際には、タイルを一枚ずつ丁寧に剥がし、耐震壁を設置した後に元のタイルを再利用するという配慮がなされた。また、内部の耐震強化では、意匠性を損なわずに強度を増すため、十文字の木格子壁が採用されている。建物の正面部分も目を引く意匠であり、特に南側に張り出した玄関部分は、腰壁がタイル張り、上部はモルタル仕上げとなっている。玄関上部には、モルタル仕上げの4本のリブ状の付柱が2階から3階を貫いて突き出している。窓は木枠の上げ下げ窓が基本だが、3階部分には優雅なアーチ窓が配されている。基礎部分には煉瓦が使われている点も特徴である。この本館建物は、歴史的、建築的価値が認められ、2002年度に佐賀市景観賞を受賞、2023年に佐賀県遺産に認定され、そして2024年12月にはついに国の登録有形文化財に登録されるに至った。また、本館とともに、1938年に建設された木造平家建・洋小屋トラス組の第二工場も、過去の近代化遺産調査報告書において、会社の近代化過程を示す建物として言及されている。
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