戸山公園

戸山公園

戸山公園は、東京都新宿区にある都立公園です。北緯35度42分19.2秒、東経139度42分16.4秒に位置し、明治通りによって大久保地区（西側）と箱根山地区（東側）に分断されています。かつてこの地は、江戸時代には尾張藩徳川家の下屋敷「戸山荘」があり、美しい回遊式庭園が広がっていました。

歴史

江戸時代、2代藩主徳川光友によって整備された戸山荘は、箱根山を模した築山や小田原宿を模した建物などが配置された25の景観を持つ大名庭園でした。11代将軍徳川家斉も訪れた記録があり、水戸藩の小石川上屋敷と並ぶ名園として知られていました。谷文晁による絵巻『紙本淡彩戸山山荘図』は、当時の様子を伝える貴重な資料であり、重要文化財に指定されています。しかし、度重なる火災や水害により荒廃し、尾張藩の財政難も重なり再建されることはありませんでした。

明治維新後、戸山荘は明治政府に明け渡され、1873年（明治6年）には陸軍戸山学校が開校しました。その後、陸軍軍医学校や練兵場として利用され、太平洋戦争終結まで軍事施設として機能しました。戦後、これらの軍事施設はすべて廃止され、1949年（昭和24年）からは戸山ハイツの建設が始まりました。1954年（昭和29年）には、敷地の一部が公園として整備され、現在の戸山公園が開園しました。

特徴

公園周辺には、戸山ハイツをはじめ、大学や高校などの文教施設、社会体育館や障害者センターといった公共施設が多数存在します。これらは、戦前まで軍事施設が立ち並んでいた場所の名残でもあります。園内には、遊具や広々とした緑地スペースがあり、地域住民の憩いの場となっています。特に、標高44.6mの箱根山は、山手線内では最も高い地点であり、都心の景色を望むことができます。また、毎年10月には穴八幡宮の伝統行事である流鏑馬が開催され、多くの観客で賑わいます。箱根山周辺は桜の名所としても知られ、春には多くの人々が花見に訪れます。

主な施設

箱根山：江戸時代に作られた築山で、標高44.6m。山手線内では最も高い地点。
陸軍戸山学校記念碑：かつてこの地にあった陸軍戸山学校の記念碑。

近接施設

大久保地区

新宿スポーツセンター：新宿区立の体育館。
新宿コズミックセンター：新宿区立の体育館・教育センター。プラネタリウムを併設。
早稲田大学西早稲田キャンパス（理工学部）
海城中学校・[[高等学校]]
保善高等学校
毎日新聞社早稲田別館
東京ヘレン・ケラー協会

箱根山地区

戸山ハイツ
学習院女子大学
東京都立戸山高等学校
早稲田大学戸山キャンパス（文学部）
新宿区立西早稲田中学校

アクセス

大久保地区

鉄道: 東京メトロ副都心線西早稲田駅より徒歩1分、JR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線高田馬場駅より徒歩10分
バス: 都営バス高71、早77、池86系統　学習院女子大学前下車徒歩2分

箱根山地区

鉄道: 東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩10分（北側）、東京メトロ副都心線東新宿駅より徒歩5分（南側）、山手線高田馬場駅より徒歩25分、都営地下鉄大江戸線若松河田駅より徒歩15分
バス: 都営バス高71、早77、池86、橋63、飯62、宿74系統　大久保通りより徒歩1分（南側）、都営バス学02系統　馬場下町より徒歩7分（北側）

利用時間・料金

大久保地区、箱根山地区ともに、常時開園しており、入場は無料です。

関連作品

西山ガラシャの小説『公方様のお通り抜け』(日本経済新聞出版社, 2016年)は、尾張藩徳川家下屋敷「戸山荘」の造園をテーマにした時代小説です。この作品を通して、戸山公園の歴史的な背景に触れることができます。

戸山公園は、都心にありながら、豊かな自然と歴史を感じられる場所です。ぜひ一度訪れて、その魅力を体験してみてください。

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