手広

神奈川県鎌倉市手広（てびろ）

手広は、神奈川県鎌倉市に位置する地域であり、手広一丁目から手広六丁目と大字手広から構成されます。一丁目から六丁目は住居表示が実施済みですが、大字手広は未実施区域となっています。

歴史

手広は、かつて鎌倉郡手広村として存在し、明治22年（1885年）に深沢村と合併、深沢村の大字となりました。その後、昭和23年（1948年）に深沢村が鎌倉市と合併したことにより、鎌倉市の大字となっています。

この地には、小字八反目付近に縄文時代から平安時代にかけての住居跡（手広八反目遺跡）が残されており、古くから人々の生活が営まれていたことがうかがえます。この遺跡は、現在の神奈川県立深沢高等学校の敷地内に位置しています。元々は津村郷に含まれていましたが、中世期に津村から分村し独立したようです。

「手広」という地名が文献に初めて登場するのは、天正19年（1591年）の「徳川家康寺領寄進状案」であり、「手広村のうち25石を青蓮寺に与える」という内容が記されています。

慶長18年（1613年）には、青蓮寺領を除く310石余が大岡忠吉に与えられ、以降は川越藩・彦根藩領となった幕末の一時期を除き、版籍奉還まで大岡氏の所領下に置かれました。手広村には近世期の地方文書が数多く残されており、当時の村落経営について知ることができます。これらの文書は『鎌倉近世史料 手広編』にまとめられています。

隣接する笛田村とは、農業用水の確保をめぐり江戸時代からたびたび訴訟が繰り返されました。中でも明治7年(1874年)に始まった訴訟は大規模なものとなり、4度にわたる大審院判決を経て、明治27年（1894年）に「手広村と笛田村が共同でため池（夫婦池）をつくり共同管理する」という結論に至りました。この訴訟の決着を記念した石碑が青蓮寺に残されています。

地理

手広は、南部に丘陵地帯、北部に平地が広がっています。昭和30年代ごろまでは、北部は農地や林が多く見られましたが、昭和60年代初頭には農地のほとんどが宅地化されました。地域は、東を鎌倉山、南を津・西鎌倉、西を藤沢市川名、北を笛田と接しています。柏尾川と柏尾川支流の手広川が付近を流れていますが、近世期には治水対策が不十分で、洪水や旱魃の被害がたびたび発生しました。

地名の由来は不明ですが、『鎌倉の地名由来辞典』では地形に由来する可能性が指摘されています。

地価

2023年（令和5年）1月1日の公示地価によれば、住宅地の地価は手広4-36-20の地点で15万2000円/m2となっています。

世帯数と人口

2023年（令和5年）9月1日現在、鎌倉市が発表しているデータによると、手広の世帯数と人口は以下の通りです。
国勢調査による人口の推移
国勢調査による世帯数の推移

学区

鎌倉市立の小・中学校に通う場合、学区は以下の通りです（2017年7月時点）。

事業所

2021年（令和3年）経済センサス調査によると、手広における事業所数と従業員数は以下の通りです。

経済センサスによる事業所数の推移
経済センサスによる従業員数の推移

交通

手広を通る主な道路は以下の通りです。

神奈川県道32号藤沢鎌倉線
神奈川県道304号腰越大船線

施設

手広には、以下の施設があります。

神奈川県立深沢高等学校
鎌倉市立手広中学校
熊野神社
東レ医薬研究所・先端融合研究所

その他

日本郵便
郵便番号：248-0036（集配局：鎌倉郵便局）

参考文献

* 「深澤庄 手廣村」『大日本地誌大系』 第40巻新編相模国風土記稿5巻之105村里部鎌倉郡巻之37、雄山閣、1932年8月。

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