柏尾川

柏尾川

柏尾川は、神奈川県南部を流れる二級河川で、境川の支流です。戸部川とも呼ばれ、全長は約11km、流域面積は約84km²です。

地理

柏尾川は、横浜市戸塚区柏尾町付近で、港南区を流れる平戸永谷川と瀬谷区を流れる阿久和川が合流して名称が変わります。そこから、戸塚駅付近から大船駅付近まではJR東海道本線に沿って流れ、手広付近までは神奈川県道304号腰越大船線とほぼ平行します。手広付近からは神奈川県道32号藤沢鎌倉線に沿って藤沢駅方向に流れ、藤沢市川名で境川に合流します。

流域には工場や住宅が多く、高度経済成長期には工場排水や生活排水による水質汚染が深刻化しましたが、下水処理施設の整備などにより、近年では水質が改善され、川鳥や川魚が生息できるようになりました。

戸塚駅から大船駅にかけての堤防には、江戸時代から続く桜並木があり、地域住民の憩いの場となっています。

流域の自治体

神奈川県
横浜市戸塚区、栄区
鎌倉市
藤沢市

支流

東側

大塚川
手広川
片岡川
笛田川
殿入川
新川(準用)
梶原川
寺分川
町屋川
台川
倉久保川
山崎川
小袋谷川(準用)
西瓜川
明月川
梅田川
砂押川(準用)
岩瀬川
[㹨川]
洗井沢川
稲荷川（矢沢堀）
瀬上沢
飯島川
舞岡川(2級・準用)
平戸永谷川(2級)
馬洗川
芹谷川(準用)
川上川(準用)
平戸川(準用)

西側

植木川
花ノ川
関谷川・大面川
阿久和川(2級)
子易川
* 名瀬川(2級)

生物

水質汚濁により一時魚が見られなくなった柏尾川ですが、工場廃水や生活廃水の減少に伴い、コイやフナなど比較的汚染に強い魚が増えました。その後、長年のメダカやオイカワの放流によってこれらの魚も定着し、近年ではアユやスズキの遡上も見られるようになりました。その他、ウナギ、ナマズ、モツゴ、ドジョウなどが生息しています。

甲殻類では、アメリカザリガニ、スジエビ、ヌマエビ、テナガエビなどが確認されています。両生類・爬虫類では、ウシガエル、アマガエル、ミシシッピーアカミミガメ、クサガメなどが繁殖しています。

水質改善により魚が増え、それらを餌とするサギやカモなどの水鳥が集まるようになりました。カワセミも見られることがあります。河口部ではカモメも多く見られます。

また、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている「ミズキンバイ」の自生地としても知られており、都市河川では柏尾川のみで見られます。

災害

柏尾川は、かつて大雨による氾濫や、晴天続きによる干上がりが頻繁に起こっていましたが、近世以降の治水工事によって徐々に減少しました。

しかし、1955年頃からの宅地化によって保水能力が低下し、再び氾濫が頻発するようになりました。1976年の台風17号では、近隣の矢部団地へ濁水が流れ込む被害が発生しました。

1965年頃から遊水地の設置や川幅の拡張、川底の浚渫などの治水対策が行われた結果、1982年以降は大きな氾濫は発生していませんでしたが、2004年の台風22号では大船駅周辺で、2014年の台風18号では大船駅東口周辺で内水氾濫が発生しました。特に2014年の台風18号では、横浜市営地下鉄ブルーライン戸塚駅が浸水し、鉄道各社で大幅な遅延や運休が発生しました。

これらの被害を受けて、地域住民からは治水対策の見直しを求める声が上がっています。

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