払田柵跡

払田柵跡について

払田柵跡（ほったのさくあと）は、秋田県大仙市払田及び仙北郡美郷町本堂城廻に位置する古代の城柵遺跡で、国の史跡に指定されています。その名が文献に登場しないことから、「幻の柵」とも称されています。この遺跡は、軍事や行政の機能を持っていたと考えられており、日本における木簡研究の重要な拠点としても知られています。

沿革

早期の発見

払田柵跡は1902年頃、耕地整理の過程で秋田県仙北郡千屋村（現在の美郷町）の水田で発見されました。当初、200本以上の柵木が見つかりましたが、これらは燃料や下駄として使用されてしました。しかし、後藤宙外が遺跡の可能性に着目し、同様の敦煌出土の木簡に似た文字の書かれた木片を採集しました。この発見は、1920年代の調査に発展し、1930年に本格的な発掘調査が始まりました。その結果、1931年に秋田県として初めて国の史跡に指定されたのです。

調査と保護

1973年には払い田柵跡が危機的な状況にありました。この問題を解決するため、1974年に「秋田県払田柵跡調査事務所」が設立され、さらなる調査が進められました。1989年には、奈良国立文化財研究所によって柵木の年輪年代法測定が行われ、801年に伐採されたことが確認されました。これにより、坂上田村麻呂の征夷事業と関連があることがわかりました。また、発見された木簡には「嘉祥二年正月十日」との文字があり、年代との整合性が確認されています。

現況

払田柵跡は、1931年の国の史跡指定以降、継続的に学術調査が行われており、発掘の成果から外郭南門や大路、政庁が復元されています。出土品は、近くの払田柵総合案内所及び調査事務所で観覧可能であり、教育的な役割も果たしています。遺跡周辺は大部分が民家や水田で、現状変更には規制がかかっています。

立地と構造

払田柵跡は、横手盆地の北部に位置し、硬質泥岩の丘陵である真山と長森を取り囲むように外郭が造られています。内郭は長森を囲んで配置されており、四つの方向に掘立柱による門が存在しました。長森の中心には、平安時代の政庁と思われる建物の跡が残っています。歴史的な技術に基づいた配置で、政庁は数回の建て直しを経てきたことが判明しています。

払田柵に関する学説

この遺跡については多くの学説があります。上田三平は、古代の遺跡であることから、軽率に結論を出すべきではないとし、後藤宙外はこれが出羽国府の場所であると論じました。一方、雄勝城築造を主張する説など、多様な意見が存在し、最近の年輪年代測定結果によってそれぞれの説の真偽が試されています。

アクセス方法

払い田柵跡には公共交通機関を利用してアクセス可能です。JR東日本の大曲駅から羽後交通バスを利用し、「埋蔵文化財センター前」で下車するルートがあります。また、車でのアクセスも便利で、秋田自動車道から国道13号を利用する方法があります。これらのルートを通じて、多くの訪問者がこの歴史的遺跡を訪れています。

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