承仁法親王

承仁法親王（しょうにんほっしんのう）

承仁法親王は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した法親王です。後白河天皇の第八皇子として生まれ、母は遊女であったとされる丹波局です。しかし、出自を隠すため、三条局が母であるという説も存在します。幼名は最恵といい、建久宮、梶井宮とも呼ばれました。

生涯

平親宗に養育された後、天台座主明雲に師事し、僧侶としての道を歩み始めます。安元2年（1176年）には、高倉天皇の猶子となります。これは、天皇の同母弟が誕生する可能性がなくなったため、万が一の場合に備えて後白河法皇が皇位継承者を確保しようとしたものと考えられています。しかし、この措置は平家一門の不信感を買う一因となりました。ただし、高倉天皇に言仁親王（後の安徳天皇）が誕生した後は、正式に受戒したことから、承仁法親王にそれ以上の政治的な意図があったとは考えにくいでしょう。

その後、文治元年（1185年）に権大僧都、文治4年（1188年）には法印に叙せられ、建久元年（1190年）には親王宣下を受けました。建久4年（1193年）には法性寺座主と城興寺検校に任命され、建久6年（1195年）には後鳥羽天皇の護持僧となります。そして、建久7年（1196年）、28歳という異例の若さで第63代天台座主に就任しました。これは当時、最年少での天台座主任命であり、大きな注目を集めました。

しかし、翌年、病に倒れ、天台座主を辞任。その直後の建久8年（1197年）4月27日、29歳という若さでこの世を去りました。

補足

承仁法親王の生涯は、皇位継承問題や当時の政治情勢に大きく影響を受けました。また、異例のスピードで天台座主に上り詰めたことは、彼の才能を示すとともに、当時の仏教界の動向を反映しているといえるでしょう。

参考文献

田中徳定「後白河天皇」志村有弘 編『天皇皇族歴史伝説大事典』（勉誠出版、2008年）
河野房男「承仁法親王」『平安時代史事典』（角川書店、1994年）

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