平親宗

平 親宗（たいら の ちかむね）

平親宗は、平安時代末期の公卿であり、桓武平氏の流れを汲む高棟王流、贈左大臣・平時信の次男として生まれました。高倉天皇にとっては外叔父にあたります。

生涯

幼くして父を亡くした親宗は、異母兄である平時忠の庇護のもとで成長したと考えられています。右衛門尉を経て永暦元年（1160年）に六位蔵人となり、翌年には叙爵。異母姉である滋子（建春門院）の引き立てを受け、実務官僚として頭角を現し、承安3年（1173年）には三事兼帯という要職を担いました。また、滋子が猶子としていた第十皇子・承仁法親王（後の天台座主）の養育に携わったことが、後白河法皇からの絶大な信頼を得るきっかけとなりました。

平清盛の縁戚でありながらも、異母兄の時忠とは年齢が離れていたため、建春門院の崩御後も後白河法皇の側近として仕え続けました。治承三年の政変では、院の近臣として官職を解かれる憂き目に遭いましたが、清盛の死後に後白河法皇による院政が再開されると、右大弁兼蔵人頭に任ぜられ、参議として公卿に列しました。

平氏一門が都落ちした際には都に留まりましたが、木曾義仲によるクーデターで一時的に解官されます。義仲の失脚後には従三位に叙せられ参議に復帰するも、源義経支持派と見なされ源頼朝に弾劾され、再び解官されました。源氏長者の象徴である淳和・奨学両院別当の職を巡っては、「平氏も王孫である」として土御門通親と激しく対立しました。

正治元年（1199年）に正二位・中納言に叙任されるも、同年7月17日に56歳で急逝。その死は、知行国主である親宗と興福寺領荘園との対立が背景にあり、『春日権現験記』には春日大明神の神罰であると記されています。

平氏一門の中では平重盛一家と親しく、娘の一人は重盛の長男・維盛の側室となっています。一方で、平宗盛とは疎遠であり、宗盛から天下の乱れは親宗ら近臣のせいであると直接非難されたという逸話も残っています。また、別の娘は西園寺公経との間に洞院実雄を産んでいます。

家集として『中納言親宗集』、日記として『親宗卿記』が現存しており、当時の宮廷社会や文化を知る上で貴重な資料となっています。

人物

後白河法皇からの信任が厚く、院政を支える役割を担いました。一方で、平氏一門としての立場も持ち合わせており、源氏との対立の中で翻弄される姿も垣間見えます。文化人としての側面も持ち合わせ、歌集や日記を通してその内面を窺い知ることができます。

官歴

（省略。原文の官歴情報を転記すると長文になるため、割愛しました。必要であれば追記します。）

系譜

父：平時信
母：藤原基隆の女
妻：僧女
子
長男：平親国
次男：平親長
三男：平宗宣
子女：建春門院新中納言（平維盛妾）
子女：西園寺公経妾

参考文献

中村文『後白河院時代歌人伝の研究』笠間書院、2005年

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