拓跋素

拓跋素（たくばつ そ）

拓跋素は、北魏の皇族であり、常山王としてその名を知られています。彼の生涯は、北魏の政治と軍事における重要な局面と深く結びついていました。

生涯

拓跋素は、常山王である拓跋遵の子として生まれました。具体的な生年は明らかになっていません。若くして内侍として朝廷に仕え、様々な官職を歴任し、その能力を発揮しました。尚安公の爵位を与えられ、外都大官という要職にも任じられました。始光3年（426年）5月、父の死去に伴い常山王の爵位を継承しました。

軍事的な功績

拓跋素の軍事的な才能は、休屠の郁原らが起こした反乱の鎮圧で発揮されました。彼はこの反乱を迅速に鎮圧し、首謀者を処刑することで、北魏の安定に大きく貢献しました。また、1000家あまりを涿鹿の南に移住させ、平原郡を新たに設置し、その統治を任されました。始光4年（427年）には、太武帝による夏の親征に従軍し、統万の平定に貢献。その功績により、仮節・征西大将軍に任じられ、統万の駐屯を任されました。延和3年（434年）には、隴西休屠の金当川が西川侯彭文暉を陰密で包囲するという事件が発生。拓跋素は直ちに金当川を討伐し、捕らえて長安で処刑しました。

内政への貢献

軍事的な功績だけでなく、拓跋素は内政面でも重要な役割を果たしました。後に内都大官に任じられ、国政に深く関与しました。太延5年（439年）には、北涼に対する親征に従軍し、先鋒を務めました。文成帝が即位すると、行政の簡素化と諸雑税の廃止を提言。役人たちが雑税の復活を求めた際には、「百姓が足りなければ、君主がどうして足りるだろうか」という言葉を引用し、民を思う姿勢を示しました。文成帝は彼の意見を受け入れ、雑税の復活を阻止しました。皇子の命名について群臣と議論するよう命じられた際には、司徒の陸麗と共に、徳に基づいた命名を行うべきだと進言しました。

人物

拓跋素は老年になっても、文成帝から国政について意見を求められることが多く、その知恵と経験は高く評価されていました。50年以上にわたり官職を務め、当時の知識人からは賢者として尊敬されていました。

和平3年（462年）9月15日、拓跋素は生涯を閉じました。諡は康とされ、金陵に陪葬されました。

子女

拓跋素には多くの子がいました。

拓跋可悉陵（曁陽子、中軍都将）
拓跋陪斤（常山王）
拓跋忠
元徳（河間公、鎮南将軍）
元賛（晋陽伯、左僕射）
拓跋貨毅
元菩薩
元淑

参考文献

『魏書』巻15 列伝第3
『北史』巻15 列伝第3

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