持丸博

持丸 博の生涯と業績

持丸博（もちまる ひろし、1943年 - 2013年）は、茨城県水戸市出身の政治活動家であり、民族主義者でした。彼は三島由紀夫が創設した民兵組織「楯の会」の初代学生長として知られています。彼の生涯や活動を通して、日本の思想や政治の動向を理解することができます。

早年と教育

持丸は1943年に水戸市で誕生し、藤田東湖の教えを受ける水戸学を学びました。この中で彼は水戸学派的な思想を育むようになります。1963年、ともに茨城県立水戸第一高等学校を卒業し、早稲田大学に進学しました。彼の大学時代は、全国的に学園紛争が広がっていた時代であり、持丸は保守系の学生組織「日本学生同盟」に参加し、理論派としての活動を展開しました。

彼は1967年に『日本学生新聞』の初代編集長を務め、著名な学生活動家たちと共に、民族派のオピニオン月刊誌『論争ジャーナル』の編集にも関わりました。彼は「高山義彦」のペンネームを使用し、様々な評論や批評を執筆しました。

楯の会の設立

1960年代後半、日本が70年安保に向かって騒然としていた中、持丸は三島由紀夫と親しくなり、三島の片腕として「祖国防衛隊」、後の「楯の会」を設立する計画に参加しました。持丸は陸上自衛隊入隊体験を通じて、多くの学生を指導し、初代学生長として組織の基盤を支える役割を果たしました。

しかし、1969年の夏、楯の会における運営資金の問題が生じ、持丸は楯の会の活動を退く決断をしました。その一因として、彼が婚約した松浦芳子との結婚があり、三島は持丸の退会に深い失望を抱くことになります。この出来事が、楯の会の活動に与えた影響は極めて大きく、三島は「持丸がやめることで会が成り立たなくなる」とまで口にしたと言われています。

三島事件とその後

持丸は三島事件後、関わった会員の多くに対して事件の後処理を行いつつ、早稲田大学大学院で政治哲学や思想史を学びました。彼は長男と長女の名前に三島由紀夫の名の一部を残すなど、三島の思想を次世代に伝える意識を持ち続けました。

彼は2003年に「つくばアソシエイト」を設立し、三島の思想や楯の会の歴史を次世代に語り継ぐ活動を開始しました。2010年には『証言三島由紀夫・福田恆存 たった一度の対決』を出版し、彼の観点からの三島の再評価を促しました。しかし、2013年に食道癌のため亡くなります。

人物像と影響

持丸は実務的かつ理論的な存在で、楯の会の中でも落ち着いた指導者として周囲に信頼されていました。また、彼の外見はハンサムで、ヘビースモーカーであったと伝えられています。三島や同じ活動を行う仲間たちにとって、彼は重要な存在であり、その影響力は今なお日本の民族主義や保守思想の中に息づいています。

まとめ

持丸博は日本の民族主義の一端を担った政治活動家で、三島由紀夫との関わりを通じて一つの歴史を作り上げました。彼の活動や思想は、今日でも様々な形で影響を与え続けており、後世に受け継がれていくべき重要な歴史です。彼が残した功績と、その思想の継承が、今後の日本の文化や思想において重要な役割を果たすことでしょう。

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