持明院基定

持明院基定（じみょういん もとさだ）は、江戸時代前期に活躍した公卿です。高家旗本・大沢基宿の次男として生まれましたが、波乱万丈の人生を送り、最終的に公家の名跡を継承することになります。官位は正二位・参議、権大納言にまで昇り、文化面でも『入木源底集』を著すなど、多岐にわたる才能を発揮しました。

大坂の陣と持明院家の断絶

持明院基定が家督を継ぐことになった背景には、大坂の陣における持明院家の悲劇がありました。持明院基久、基征父子は公家でありながら大坂城に入城し、豊臣方として徳川家康率いる幕府軍と戦いました。最終決戦となった天王寺・岡山の戦いで、両名とも戦死した（または落ち延びたとも言われています）とされ、これにより持明院家は事実上断絶しました。

名跡の継承と日光例幣使

その後、基定が基久の娘婿となったことで、持明院家の名跡を継ぐことが許されました。これは、武家である大沢家の出身でありながら、公家社会に足を踏み入れるという異例の経緯でした。正保3年（1646年）3月10日、基定は後光明天皇より日光東照宮への臨時奉幣使として派遣されます。そして、翌4月17日に東照宮に奉幣を行いました。この奉幣が、後に恒例となる日光例幣使の始まりとなりました。基定は、徳川家康を祀る東照宮への奉幣という重要な役割を担い、幕府との関係を深めました。

系譜

父：大沢基宿
母：不詳
養父：持明院基久
正室：持明院基久の娘
* 三男：高野保春

生母不明の子女として、男子の持明院基時、高倉永敦室、稲葉正往継室がいます。

文化的な貢献

持明院基定は、政治的な活動だけでなく、文化面でも貢献しました。『入木源底集』は、彼の書道に関する知識や見解をまとめたものであり、当時の文化を知る上で貴重な資料となっています。

持明院基定は、激動の時代を生き抜き、武家から公家へと転身しながらも、持明院家の再興と文化の発展に尽力した人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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