持続性エリスロポエチン受容体活性化剤

持続性エリスロポエチン受容体活性化剤（CERA）とは

持続性エリスロポエチン受容体活性化剤（CERA）は、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が開発した貧血治療薬です。英語名のContinuous Erythropoietin Receptor Activatorの頭文字を取り、CERAという略称で広く知られています。

作用機序

体内の酸素が不足すると、エリスロポエチン（EPO）が生成され、骨髄で赤血球の産生が促進されます。これにより、酸素を運搬する赤血球が増加します。しかし、腎臓病患者などでは、この自然なメカニズムが機能しない場合があります。CERAは、そのような場合に、持続的に骨髄内の受容体を刺激し、赤血球の産生を促します。

従来の貧血治療薬との違い

従来の貧血治療薬であるエポエチンは、一定のヘマトクリット値を維持するために、週に2～3回の頻繁な静脈注射が必要です。一方、CERAは通常3～4週間に1回の投与で済みます。また、CERAはエポエチンとは異なる受容体部位を活性化し、より安定した持続的な貧血コントロールを可能にすると考えられています。

承認と利用状況

CERAは2007年8月に欧州委員会で承認され、2008年からヨーロッパ地域で利用可能になりました。

スポーツにおける不正使用

CERAは、その赤血球増加作用から、持久力を必要とするスポーツにおいて不正に使用される事例が報告されています。特に自転車競技では、CERA使用によるドーピング違反が多発しました。

自転車競技における主な不正使用例

ツール・ド・フランス2008： リカルド・リッコ、シュテファン・シューマッハー、ベルンハルト・コール、レオナルド・ピエポリら複数の選手からCERAの陽性反応が検出されました。
ジロ・デ・イタリア2008： エマヌエーレ・セッラからCERAの陽性反応が確認されました。
北京オリンピック2008： シュテファン・シューマッハー、ダヴィデ・レベッリンからCERAの陽性反応が検出されました。
ジロ・デ・イタリア2009： ダニーロ・ディルーカからCERAの陽性反応が確認されました。

これらの事例は、CERAがスポーツ界におけるドーピング問題の深刻化に拍車をかけたことを示しています。CERAは、貧血治療に有用な薬剤である一方で、スポーツの公正さを損なう可能性も持ち合わせているため、適切な管理と使用が求められます。

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