掛川茶

掛川茶（かけがわちゃ）

掛川茶は、静岡県掛川市で生産される緑茶のブランドです。地域団体商標にも登録されており、その品質の高さから日本三大茶の一つ、静岡茶の中でも特に評価されています。

概要

掛川茶は、主に深蒸し茶として知られています。深蒸しにすることで、渋みが抑えられ、濃い緑色とまろやかな味わいが特徴です。掛川市は、大井川と天竜川に挟まれた丘陵地であり、水と日照に恵まれています。これにより、カテキンを豊富に含んだ茶葉が育ちますが、同時に渋みが増すという課題も抱えています。

歴史

掛川茶の歴史は古く、1572年頃に京から持ち帰られたチャノキの種子が起源とされています。その後、山内一豊が徳川家康に茶を献上したという伝承も残っています。

江戸時代から明治時代にかけて、やらまいか精神と報徳思想が根付いた掛川地域では、茶園の開墾や溜池の整備が積極的に行われました。特に牧之原台地の開拓により生産量が増加し、海外への輸出も行われるようになりました。

1975年頃には、深蒸し製法が導入され、掛川茶の品質向上に大きく貢献しました。2017年には、「掛川茶」の名称が地域団体商標として特許庁に認められています。

栽培方法

掛川茶の栽培には、伝統的な茶草場農法が用いられています。これは、ススキやササを茶園に投入する農法で、生物多様性の保全にも貢献しています。2013年には、「静岡の茶草場農法」として世界農業遺産に登録されました。

農業用水

明治時代から茶の生産が盛んになりましたが、当時は水不足が深刻でした。そのため、200箇所を超える貯留池を設置するなど、水資源の確保に努めてきました。しかし、近年では渇水や中央新幹線の建設による大井川の流量減少が懸念されており、水不足の解消が課題となっています。

定義

掛川茶と名乗るためには、厳格な基準が設けられています。掛川市で生産された荒茶を100%使用する場合のみ「掛川産掛川茶」と表記できます。その他の「掛川茶」についても、掛川市産の荒茶を75%以上使用し、隣接自治体（旧金谷町、旧菊川町、旧小笠町、旧浜岡町、旧袋井市、旧浅羽町、森町）で生産された同等の荒茶を25%未満とするなど、厳しい条件が課されています。

イベント

掛川市では、掛川茶の魅力を発信する様々なイベントが開催されています。

秋のお茶まつり：掛川茶や抹茶入りのくき茶が割引価格で提供されます。
かけがわ茶エンナーレ：掛川茶を使った「ジン茶ーエール」や「お茶杏仁」などが販売される芸術祭です。

栄養成分と健康効果

掛川茶には、カテキン、ビタミンC、テアニンなどの栄養成分が豊富に含まれています。

カテキン：抗がん作用、コレステロール抑制作用、抗酸化作用などが期待できます。
ビタミンC：病気の予防やストレスへの抵抗力を高める効果があります。
テアニン：集中力向上や睡眠の質を改善する効果があります。

掛川市は、全国的に見てもガンによる死亡率が低い地域として知られており、お茶の摂取との関連性が注目されています。

商品

掛川茶『天葉 (あまね)』：「さえみどり」「つゆひかり」「やぶきた」を使った、品評会で選ばれた茶師が火入れをしたお茶です。
チャバコ：スティックの粉末茶で、「茶草場深蒸し茶」「茶草場ほうじ茶」など様々な種類があります。

取り組み

掛川市では、掛川茶の普及と地域活性化のため、様々な取り組みを行っています。

掛川市緑茶で乾杯条例：緑茶文化を広めることを目的とした条例です。
掛川茶PRレディ：イベントなどで掛川茶をPRする役割を担います。
掛川お茶大使：掛川茶の魅力を情報発信する役割を担います。

受賞歴

掛川茶は、農林水産大臣賞「深蒸し煎茶の部」最優秀産地賞を過去に22回受賞しています。

掛川茶は、その歴史と伝統、そして品質の高さから、多くの人々に愛されています。ぜひ一度、その豊かな味わいをお試しください。

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