撞木反り

撞木反り（しゅもくぞり）とは

撞木反りは、大相撲における珍しい決まり手の一つです。

概要

相手の懐に潜り込み、相手を横向きに肩に担ぎ上げて、後ろに反って落とす技です。「撞木」とは、鐘や鉦を撞く際に用いられるT字形の木槌のことで、相手を肩に担ぎ上げた体勢が撞木に似ていることから、この名が付きました。

仕掛ける体勢は同じ反り手に分類される襷反りに似ていますが、襷反りが相手を肩に担ぎ上げないのに対し、撞木反りは相手を完全に担ぎ上げて後方に叩き落とす点が異なります。柔道の肩車のうち、後ろに反り倒す肩車は相撲では撞木反り、襷反りにあたるとも言われています。レスリングの飛行機投げ（ファイアーマンズ・キャリー）、プロレスのバックフリップやアングル・スラムに近い技です。中国武術にも類似の投げ技が存在します。

大相撲での希少性

大相撲においては最も珍しい決まり手であり、記録に残る使用例は、1929年（昭和4年）秋場所9日目に東前頭10枚目の常陸嶌朝治郎が西前頭14枚目の東関善三郎に対して決めた1例のみです。

常陸嶌は同場所4日目に大蛇山を破った取組も、現行の公式決まり手体系に採用されていない技名の「衣被き」として記録されており、この「衣被き」も現在の公式決まり手の撞木反りに含まれるもののうち特定のパターンのものと言われています。

1955年1月の決まり手制定以降は、幕内・十両のみならず、取的を含む全取組を通しても本場所・準場所・巡業・イベント問わず、一度も使用されたことがありません。

アマチュア相撲での事例

アマチュア相撲では、近年の例として2011年11月6日の第89回全国学生相撲選手権大会団体戦準決勝で、関西学院大学の宇良和輝が決めたことがあります。ただし、関西学院大学相撲部は公式ブログにおいて、この技は本来の撞木反りとは違う居反りであるとの見解を示しています。

使用頻度が低い理由

柔道やレスリングの類似技に比べて撞木反りの使用頻度が低い理由としては、以下の点が考えられます。

相手の懐に潜り込む必要があり、膝を土俵についてしまう危険性が高い
相手を担ぎ上げる腕力と、担ぎ上げた相手より先に土俵につかずに持ちこたえる柔軟性が必要（この二つは相反する場合が多い）
担ぎ上げても相手に暴れられて共倒れになる危険性がある（下にいる力士が不利）
力士の大型化により、体格差がない限り担ぎ上げることが困難になった

決まり手係を務めた元大相撲力士は、取材に対し「撞木反りは無理だと思います」と述べています。

関連項目

大相撲の決まり手一覧

出典

日本相撲協会公式ホームページ - 決まり手八十二手

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