文如

文如（もんにょ）：学芸に秀でた浄土真宗の宗主

文如は、江戸時代中期に活躍した浄土真宗の僧で、浄土真宗本願寺派の第18世宗主を務めました。西本願寺の住職であり、光暉という諱を持ち、信入院という院号を称しました。法印大僧正の位にあり、第17世宗主である法如の子として生まれました。

生涯

1753年、11歳で九条尚実の猶子となり得度。父である法如の宗務を助け、多数の兄弟姉妹を有力な貴族と婚姻させることで、本願寺の姻戚関係を強化しました。1770年には、右大臣二条宗基の息女である五千と結婚しています。

父が長命であったため、新門跡として長く過ごしましたが、茶道をはじめ、詩歌、書、聲明など多岐にわたる分野で才能を発揮しました。「悠々子」という雅号も持っていました。46歳で宗主を継職しましたが、その後10年で逝去したため、宗主としての期間は比較的短いものでした。

興正寺との関係修復に尽力したほか、三業惑乱をめぐる宗派内の混乱に対処に追われ、1799年に問題解決を見ぬまま56歳で亡くなりました。その後、次男である本如が第19世宗主となりました。

茶道への傾倒

文如は、新門時代から学芸に親しみ、特に茶道を好みました。本願寺と薮内流薮内家との関係は以前から良好でしたが、文如は薮内宗堅に直接入門し、茶の湯を深く学びました。その結果、薮内流の免許皆伝を認められるほどの実力を持つに至りました。

現存する国宝である飛雲閣には、文如が作らせた薮内流の茶室「憶昔亭」があります。今日でも薮内流茶道は本願寺御用達として親しまれており、文如の茶道への貢献は色濃く残っています。

文如は、宗派の運営に尽力する一方で、文化人としても優れた才能を発揮し、後世に大きな影響を与えた人物と言えるでしょう。

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