文帝元皇后

元皇后（げんこうごう、生年不詳 - 551年）は、北周の文帝である宇文泰の夫人であり、北魏・西魏の皇室に生まれた公主です。彼女は、その高貴な出自にもかかわらず、波乱に満ちた生涯を送りました。

生い立ちと結婚

元皇后は、広平王元懐の娘として生まれました。北魏の孝武帝の妹にあたり、平原公主に封じられました。その後、開府の張歓（張瓊の子）に嫁ぎましたが、張歓は貪欲で残酷な性格であり、公主に対して無礼な態度を取り、侍婢を殺害するなどの暴挙に出ました。

公主はこれに激怒し、兄である孝武帝に訴えました。孝武帝は張歓を捕らえ、処刑しました。その後、元皇后は馮翊公主に改封され、宇文泰の元に嫁ぐこととなりました。宇文泰との間に、後の孝閔帝となる宇文覚を儲けました。

死後

大統17年（551年）、元皇后は亡くなりました。恭帝3年（556年）12月、成陵に宇文泰と合葬されました。孝閔帝元年（557年）、北周が建国されると、元皇后は王后として追尊されました。さらに、武成元年（561年）には皇后として追尊されました。

元皇后は、北魏・西魏の皇室の血を引く高貴な女性でありながら、最初の結婚では夫の非道な行為に苦しみ、兄の力によって救われるという経験をしました。その後、宇文泰の夫人となり、北周の礎を築いた孝閔帝を生み、死後に皇后として追尊されるという、波乱万丈な生涯を送った人物です。

参考文献

『周書』巻9 列伝第1 皇后
『北史』巻14 列伝第2 后妃下
『周書』中華書局、1971年。ISBN 7-101-00315-X。
『北史』中華書局、1974年。ISBN 7-101-00318-4。

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