文月 (睦月型駆逐艦)

駆逐艦「文月」（睦月型7番艦）

「文月」は、日本海軍が建造した睦月型駆逐艦の7番艦です。艦名は旧暦7月を意味します。同名艦が存在したため、「文月 (2代)」や「文月II」と区別されることもあります。

艦歴

1924年10月20日に藤永田造船所で起工され、1926年7月3日に竣工しました。竣工後は佐世保鎮守府に所属し、1928年8月1日に「文月」と改名されました。

太平洋戦争

太平洋戦争開戦時は、第22駆逐隊に所属し、姉妹艦と共にフィリピン攻略戦やジャワ島攻略戦、バタビア沖海戦に参加しました。その後は、ジャワ海方面で船団護衛に従事。1942年9月には、輸送船との衝突事故で大破し、修理を余儀なくされました。

昭和十八年前半の戦い

1943年1月、第八艦隊に編入され、ガダルカナル島撤収作戦（ケ号作戦）に参加。エスペランス岬警戒隊として活動しました。撤退作戦中には、旗艦の曳航や空襲による損傷など、困難な状況に直面しながらも任務を遂行しました。

ケ号作戦後は、中部ソロモン方面への輸送作戦に従事。2月には第22駆逐隊が再編され、ビスマルク海海戦にも参加しました。その後も、輸送作戦やレカタ基地への物資輸送など、多岐にわたる任務を担当しました。

昭和十八年後半の戦い

修理を終えた「文月」は、ラバウルに進出し、第三水雷戦隊と合流。コロンバンガラ島からの撤退作戦（セ号作戦）やベララベラ海戦に参加しました。これらの作戦では、敵艦隊との交戦や輸送作戦を遂行し、多くの困難を乗り越えました。

ブーゲンビル島の戦いでは、タロキナへの逆上陸輸送作戦に参加。しかし、米軍の空襲や艦隊との交戦により、作戦は困難を極めました。その後も、輸送作戦やラバウル防衛戦に参加しましたが、戦況は悪化の一途をたどりました。

昭和十八年末期・昭和十九年初頭の戦い

11月下旬以降は、ニューブリテン島各地への輸送作戦に従事。しかし、敵の制空権下での輸送は非常に危険な状況でした。12月にはトラック泊地へ後退し、整備を行うことになりました。12月下旬には輸送作戦を再開しましたが、空襲の脅威に晒され続けました。

1944年1月には、カビエンへの輸送作戦に参加。輸送船団の護衛中に敵機動部隊の攻撃を受け、損傷を受けながらも敵機を多数撃墜しました。

沈没

1944年1月30日、ラバウル空襲で損傷し、修理のためトラックへ回航されました。しかし、2月17日のトラック島空襲で、修理中に主機を損傷し航行不能となり、翌18日に沈没しました。

「文月」は、その生涯を太平洋戦争の激戦地で戦い抜き、多くの困難を乗り越えて数々の作戦に参加しました。その勇敢な戦いは、今もなお語り継がれています。

歴代艦長

歴代の艦長は以下の通りです。

吉田健介 中佐：1926年2月20日 - 1926年12月1日
山口実 中佐：1926年12月1日 - 1927年12月1日
中田操 中佐：1927年12月1日 - 1928年12月10日
(兼)山本正夫 少佐：1928年12月10日 - 1929年11月1日
(兼)古木百蔵 少佐：1929年11月1日 - 1929年11月30日
勝野実 少佐：1929年11月30日 - 1930年3月8日
(兼)古木百蔵 少佐：1930年3月8日 - 1931年7月16日
(兼)平井泰次 少佐：1931年7月16日 - 1931年11月2日
(兼)藤田俊造 少佐：1931年11月2日 - 1931年12月1日
阿部俊雄 少佐：1931年12月1日 - 1933年11月15日
山田雄二 少佐：1933年11月15日 - 1935年10月15日
田中正雄 少佐：1935年10月15日 - 1936年12月12日
大島一太郎 少佐：1936年12月12日 - 1938年5月20日
鵜沢聡衛 少佐：1938年5月20日 - 1938年10月1日
本倉正義 少佐：1938年10月1日 - 1939年10月15日
(兼)久保木英雄 少佐：1939年10月15日 - 1939年11月15日
山下正倫 少佐：1939年11月15日 - 1940年1月6日
中俣勇 少佐：1940年1月6日 - 1940年10月15日
荒井靖夫 少佐：1940年10月15日 - 1941年9月10日
富岡忠雄 大尉：1941年9月10日 - 1942年1月30日
海老原太郎 大尉：1942年1月30日 -
長倉義春 少佐：1943年11月1日 -

現在の状況

現在、「文月」は月曜島の北、水深37mの海底に沈んでいます。艦体の損傷が激しく、往時の面影を偲ぶことは困難です。

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