ラバウル空襲

ラバウル 空襲：太平洋戦争の激戦地における航空戦

第二次世界大戦中、南太平洋の要衝ラバウルは、日本軍と連合軍の激しい航空戦の舞台となりました。本稿では、1942年から1944年にかけて行われたラバウル空襲の全貌を、両軍の作戦、戦力、そして戦争終盤におけるラバウルの戦略的意義の変化という観点から詳細に解説します。

1942年：ラバウルの攻略と初期の空襲

ラバウルは、オーストラリア軍が整備した大規模な飛行場と良質な港湾を有する戦略拠点でした。日本軍は、南洋地域の防衛を強化するため、ラバウルとカビエンの攻略作戦を実行。1942年1月、トラック島を基地とする日本海軍の航空機によるラバウルへの最初の空襲が行われました。当初は日本軍の攻撃は成功したように見えたものの、その後、連合軍の反撃が始まりました。

1月20日、日本海軍機動部隊による大規模な空襲が実施され、ラバウルの飛行場や砲台などが爆撃されました。その後も日本軍は空襲を繰り返し、ラバウルを攻略しました。しかし、直後から連合軍機による空襲が頻発するようになり、日本軍の作戦に支障をきたすようになりました。

連合軍は、日本軍がラバウルを足がかりに周辺諸島への進出を企図する可能性を懸念し、その阻止を目的として空襲作戦を計画しました。しかし、作戦実行直前に発生したニューギニア沖海戦によって作戦は中止されました。

その後、連合軍の大型爆撃機によるラバウルへの空襲が散発的に繰り返されるようになりました。B-17やB-24、B-26などによる「点滴爆撃」と呼ばれたこの空襲は、被害は大きくありませんでしたが、日本軍将兵の精神面に大きな影響を与えました。

1943年：戦局の変化と連合軍の大攻勢

1943年春、ガダルカナル島の戦いで敗北した日本軍は、ソロモン諸島方面での防衛線を徐々に後退させざるを得なくなりました。連合軍の航空戦力は、日本軍を圧倒的に凌駕しており、ラバウルは空襲の標的としてますます重要になっていきました。

連合国軍は、ソロモン諸島の戦いで勝利しつつありましたが、空母の損失が大きかったため、多方面への反攻作戦には戦力不足でした。そのため、イギリス海軍の空母「ヴィクトリアス」をパナマ運河経由で派遣し、アメリカ海軍の空母「サラトガ」と共同作戦を実施しました。

一方、アメリカ海軍はエセックス級やインディペンデンス級などの新鋭空母を続々と就役させており、太平洋艦隊の戦力は強化されていきました。これらの空母は、中部太平洋方面での作戦に投入されることが多く、ソロモン方面への投入は限定的でした。

1943年4月に発令されたカートホイール作戦では、ラバウル攻略は回避され、ブーゲンビル島の攻略が優先されました。9月22日、タロキナ地区への上陸作戦が開始されました。この作戦では、空母「サラトガ」と新鋭の軽空母「プリンストン」が中心的な役割を果たしました。

10月12日、連合軍機によるラバウルに対する大規模な空襲が開始されました。この空襲は天候に恵まれず完全な成功とはなりませんでしたが、日本軍に大きな損害を与えました。その後も、空襲は継続的に行われ、10月24日には日本海軍の駆逐艦「望月」が撃沈されました。

11月1日、ブーゲンビル島タロキナ地区への上陸作戦が開始されました。日本軍はタロキナ地区への逆上陸作戦を試みましたが、ブーゲンビル島沖海戦で敗北しました。この海戦をきっかけに、アメリカ海軍はラバウルへの空母機動部隊による大規模攻撃を計画しました。

11月5日と11月11日の空襲：ラバウル攻略への転換点

11月5日、アメリカ海軍の空母「サラトガ」と「プリンストン」を中心とする第38任務部隊によるラバウル空襲が行われました。この空襲は、日本海軍の遊撃部隊に壊滅的な打撃を与え、ラバウル攻略における大きな転換点となりました。

11月11日には、第38任務部隊と新たに投入された第50.3任務部隊による大規模な空襲が行われました。この空襲も日本軍に大きな被害を与え、ラバウル周辺の制空権と制海権を連合軍が掌握することとなりました。

1944年以降：ラバウルの終焉

1944年2月、アメリカ軍のトラック島空襲によってトラック島の航空兵力が壊滅したため、ラバウルの航空部隊はトラック島に撤退しました。これ以降、ラバウルは連合軍の艦砲射撃や空襲の標的となり続けました。

連合軍は、グリーン島、アドミラルティ諸島、エミラウ島などに上陸し、ラバウルを完全に包囲しました。その後、戦線はフィリピン方面へと移り、ラバウルの戦略的価値は大きく減退しました。ラバウルに残された日本軍将兵は、終戦まで篭城状態を続けました。

まとめ

ラバウル空襲は、太平洋戦争における重要な航空戦でした。この空襲は、両軍の作戦、戦力、そして戦争終盤におけるラバウルの戦略的意義の変化を反映したものでした。ラバウル空襲は、連合軍の勝利に大きく貢献し、太平洋戦争の終結へと繋がる重要な出来事でした。

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