新しい古典派

新しい古典派経済学 (New Classical Economics)

新しい古典派経済学は、1970年代に登場したマクロ経済学の一派であり、広義には新古典派経済学に位置付けられます。この学派は、主にケインジアン経済学に対抗する形で発展し、その理論的基盤は新古典派の枠組みの上に構築されています。

新しい古典派の特徴的なポイントの一つは、ミクロ経済学に基づく分析の重要性を強調している点です。ミクロ的基礎（microfoundation）とは、個々の経済主体の行動を前提にマクロ経済学のモデルを作成することを意味します。これにより、ケインジアン経済学においてもミクロ的基礎を重視しようとするニュー・ケインジアンの考え方が生まれたのです。

この学派では、モデルのいくつかの仮定が共通しており、特にすべての経済主体が合理的な選択を行うとされます。具体的には、個人は効用の最大化を目指し、また合理的な期待を持ちながら行動するとされています。加えて、マクロ経済において完全雇用または潜在的生産能力での均衡がある場合、この均衡は市場の価格や賃金の調整を通じて達成されると想定されます。

新しい古典派は、代表的個人（representative agent）モデルを採用したことで知られています。これにより、経済全体が一人の代表的な主体の行動に還元されるという考え方が取り入れられました。ただし、このモデルの採用に関しては、議論も多く存在します。特に、Sonnenschein-Mantel-Debreu定理に関連した批判や合成の誤謬（fallacy of composition）といった問題から、ミクロ経済学的な行動とマクロ経済的な結果との間に明確な乖離があることが指摘されています。このことは、代表的個人モデルの応用によって合成の誤謬が生じないという見解に対する反論となります。

新しい古典派経済学における重要な議論には、ケンブリッジ資本論争があります。この論争では、新古典派的な総生産関数の存在について疑義が提起され、経済学者たちの間で激しい論争が展開されました。

新しい古典派の代表的なモデルの一つが、リアルビジネスサイクル理論（Real Business Cycle Theory）です。これはロバート・ルーカスによって先駆的なアイデアが提案され、後にフィン・キドランドとエドワード・プレスコットが理論を発展させました。この理論により、彼らはノーベル経済学賞を受賞するなど、その影響力は大きなものとなりました。

新しい古典派経済学は、その合理的期待やミクロ的基盤の重要性を強調することにより、現代マクロ経済学の発展に大きく寄与してきました。

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