新京成電鉄8800形電車

新京成電鉄8800形電車

新京成電鉄8800形電車は、1986年に新京成電鉄が導入した通勤形電車です。老朽化した吊り掛け駆動車の置き換えと、車両の冷房化率向上を目的に、8000形のフルモデルチェンジ版として開発されました。1991年まで増備が続けられ、新京成だけでなく関東地方の直流1500Vを採用する鉄道路線において、初めてVVVFインバータ制御を搭載した車両として注目されました。

形式名の「8800」は、新京成がそれまでに製造した800形と8000形の集大成という意味合いが込められています。1両あたりの製造価格は約1億300万円でした。

車両概要

車体

車体は、8000形と同様の18m級普通鋼製で、両開き3ドア構造（窓配置はdD3D3D1）を採用しています。窓は一段下降式に変更され、正面形状は大型の窓ガラスを2枚配置し、中央に細いピラーを配したモダンなデザインとなりました。

車体塗装は、当初8000系の2代目塗装に準じたものでしたが、後にコーポレートカラーを用いた新塗装に変更されました。2007年以降、ドア部分の帯が省略される編成が登場し、さらに新塗装化によって全編成が統一されました。

内装

座席モケットは、登場当初は一般席がオレンジ色、優先席が灰色でしたが、後に一般席は薄紫色、優先席は青系の柄入りに変更されました。現在は、一般席がワインレッド、優先席が青色となっています。

機器類

制御装置には、三菱電機製のGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータが採用されています。主電動機は、三菱電機製のかご形三相誘導電動機（MB-5018-A、1時間定格出力135kW）を搭載しています。ブレーキは、新京成で初めてとなる回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキが導入されました。

台車は、住友金属工業製のダイレクトマウント形空気ばね台車を採用し、電動車はFS514型およびFS514A型、付随車はFS014型およびFS014A型を名乗ります。冷房装置は、三菱電機製のCU-195A型集約分散式冷房装置（能力10,500kcal/h（9.0kW））を1両あたり3基搭載しています。

登場当時は北総開発鉄道（現・北総鉄道）への乗り入れは想定されていませんでしたが、一部編成には誘導無線 (IR) アンテナの準備工事が施され、後に北総乗り入れ対応車も登場しました。北総乗り入れ廃止後は、関連機器が撤去されました。

改造

1999年以降、インバータ装置の制御部劣化に伴い、プログラム更新によるPGセンサレスベクトル制御・純電気ブレーキが搭載されました。2001年からは、ドアチャイムの設置、戸開予告装置と転落防止幌、車椅子スペースの設置が行われました。同時期に、全車の先頭車にスカートが取り付けられています。車内自動放送は2009年4月1日より順次導入されました。

6両編成化・京成線直通対応工事

2006年より、8両編成から6両編成への短縮化改造が開始されました。同時に、京成電鉄への乗り入れに対応するための工事も行われ、側面の帯がN800形に準じた配色に変更されました。京成乗り入れ対応車には、誘導無線 (IR) アンテナと急行灯・運行番号表示器が設置されました。

6両編成化に伴い、車両番号はハイフン付きの番号に改番されています。

リニューアル

2017年より、機器更新と内装のリニューアルが開始されました。リニューアル車は、内装がピンク基調となり、パンタグラフがシングルアーム式に交換され、車外スピーカーやフルカラー式行先表示器が設置されています。

その他

8832（現・8807）編成では、後のN800形で採用された速度センサレス制御の採用試験が実施されました。

8800形には、沿線のスポーツチームやイベントのラッピングが施された車両が多数運行され、利用者に親しまれています。

2022年には80000形増備により1編成が運用を離脱しました。

編成表

（編成表に関する記述は省略）

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