新作能

新作能の紹介

新作能は、明治時代以降に作られた能の楽曲であり、伝統的な能の枠組みを受け継ぎながらも新しい表現方法を模索しています。この形式の能は、室町時代に創作された曲が多く、長い歴史の中で洗練を重ねてきた一方で、明治以降も新たな試みが続けられています。

新作能の特徴

現代の新作能では、従来の能とは異なる実験的な演出が頻繁に行われています。例えば、伝統的な囃子にパイプオルガンを取り入れた『伽羅沙』や、地謡で同時に異なるメロディが歌われる『安倍晴明』などが挙げられます。また、舞台装置に関しても、伝統的なものを超えた試みが見られます。例えば、舞台背景には十字架を用いたり、特殊な鏡を使用してシテ（演者）が観客の前から消える演出も行われています。

新作能の題材

新作能の制作にあたっては、室町以前の古典文学が多く取り扱われているため、特に『源氏物語』を題材とした作品は難易度が高いとされています。しかし、日清戦争や日露戦争、太平洋戦争といった歴史的事件を題材にした作品も数多く存在します。戦後には、イェイツやシェイクスピアの作品など、海外文学を採り入れた新作能も増えています。最近では、美内すずえの『ガラスの仮面』を基にした作品や、モダンバレエ『ジゼル』の翻案も新作能として上演されています。

制作者と演じ手

新作能を手掛ける制作者には、土岐善麿や高浜虚子、竹中実らが名を連ねています。また、演じ手としては、喜多実や梅若六郎が著名であり、彼らによる作品はしばしば再演されています。喜多流の『鶴』は頻繁に上演される作品として知られており、1981年に喜多実が演じた公演はNHKアーカイブスにても記録されています。

代表的な新作能

新作能の中でも特に有名な作品には以下のものがあります。

• - 夢浮橋（ゆめのうきはし）：2000年に初演され、瀬戸内寂聴の小説『髪』を原作とする。
• - 紅天女（くれないてんにょ）：2006年初演、美内すずえの漫画『ガラスの仮面』に基づく。
• - 実朝（さねとも）：1996年と1950年に別々に初演されたが、異なる作品として知られている。
• - 伽羅紗（がらしゃ）：1997年に初演、作者は山本東次郎。
• - マクベス：2005年初演、シェイクスピアの原作を基にした夢幻能としてアレンジ。

新作能は、国内外での上演も増加しており、2020年にはブルガリアで『オルフェウス』が日欧合作として上演されるなど、海外への発展も見せています。このように、新作能は伝統を踏まえながらも、現代において新しい創造力を発揮し続けています。

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