新妻駒五郎

新妻駒五郎：激動の時代を駆け抜けた官僚・政治家

新妻駒五郎（1855年12月8日 - 1937年8月12日）は、幕末の会津藩士として生まれ、明治時代には警察官、そして政治家として活躍した人物です。その生涯は、激動の時代を象徴するかのようで、地方行政に大きな足跡を残しました。

生い立ちと官僚時代

福島県出身の新妻駒五郎は、新妻一郎の長男として生まれました。戊辰戦争後、上京し、警視庁に邏卒として入庁。西南戦争では抜刀隊の一員として戦いました。1880年に警部補に昇進してからは、三重の典獄などを経て、岡山、広島、新潟、千葉、宮城、兵庫、大阪と各地の警察部長を歴任しました。1900年の義和団の乱では、その功績により、仏国、清国から叙勲を受けています。1917年には大分県知事に就任し、4年強の任期を務め上げました。その後、小倉市長を1期務め、その生涯を終えています。

大分県知事としての業績

新妻駒五郎は大分県知事時代、政友会系の知事として、県政運営に尽力しました。当時の県議会は政友会系議員が少数派であり、予算案の成立に苦労する場面もありました。県民の要望であった高等学校の設立誘致には失敗しましたが、文部省から高等商業学校の設置案が示された際には、地元からの寄付金を条件に受け入れました。財政難の中、地元代議士らとの交渉により寄付金の総額を減額することに成功し、設置にこぎつけました。この高等商業学校は、後の大分大学経済学部の前身となります。

また、新妻県知事時代には、県庁の新庁舎建設も決定しました。大分高等商業学校、大分県庁舎の完成は新妻の退任後となりましたが、その基礎を築いたのは新妻の功績と言えるでしょう。

その他の功績と晩年

新妻駒五郎は、公職生活48年という長きにわたり、一日も欠勤することがありませんでした。その職務への真摯な姿勢は、多くの人々に感銘を与えました。高等官一等、正四位、勲二等に叙せられ、その功績が称えられています。また、旧藩の京都守護職時代に京で没した藩士らを葬った黒谷墓地の整備に際しては、寄付金募集の発起人の一人を務めました。1937年8月12日、83歳でこの世を去りました。その遺体は、生誕の地である猪苗代見禰山に葬られました。

栄典

位階

1916年（大正5年）12月28日 - 従四位

勲章

1902年（明治35年）12月28日 - 勲五等双光旭日章
1920年（大正9年）11月1日 - 勲二等瑞宝章

関連書籍

『名典獄評伝 明治・大正・昭和三代の治蹟』日本行刑史研究会

参考文献

アジア歴史資料センター
『三重県』（国立公文書館蔵 各官庁所属官吏現員調書六　Ref A07061548800）
『各府県警務長』（防衛省防衛研究所蔵 陸軍省-日露戦役-M38-4-11337 Ref C06040197000）
小島一男『会津人物事典 （武人編）』歴史春秋社、1995年。

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