新庄直定

新庄直定

新庄直定（しんじょう なおさだ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将であり、常陸麻生藩の第2代藩主を務めた人物です。永禄5年（1562年）、近江国において、初代麻生藩主となる新庄直頼の嫡男として生を受けました。母は佐久間盛重の娘と伝えられています。幼名は新三郎と称し、後に越前守の官位を与えられ、従五位下に叙されました。

父である直頼と同様に豊臣秀吉に仕え、その才覚を認められました。秀吉の側近に列する者の中から選ばれる、高い栄誉とされる金切裂指物使番（きんきりさきさしものつかいばん）の一人に任じられました。

天正19年（1591年）、父の直頼が近江大津城へ移封された際、直定にも所領が分与され、1万2,000石の知行を得たといわれています。同年11月には、三河国で行われた吉良での狩猟に、父と共に秀吉に随行しました。文禄元年（1592年）に始まった文禄・慶長の役では、父と共に朝鮮へ派兵され、300人の兵を率いて渡海しました。帰国後は、伏見城の築城工事の一部を担当するなど、豊臣政権下で着実に実績を積んでいきました。この頃の知行も1万2,000石であったことが『当代記』に記されています。

慶長3年（1598年）、豊臣秀吉が死去すると、遺物として景長の刀を拝領しました。この時期に、父に連れられて伏見で初めて徳川家康に謁見したとされています。

慶長5年（1600年）に勃発した関ヶ原の戦いでは、父・直頼と共に西軍に属しました。この時、筒井定次が留守にしていた伊賀上野城を攻め、守備隊を退けて城を占拠するという軍功を挙げました。しかし、急報を聞いて帰国した筒井定次と対峙することになったため、定次の息子を人質とすることで和睦を結び、城を退去しました（この経緯は『伊乱記』に詳しい）。

関ヶ原の戦いで西軍が敗れたことにより、新庄父子は改易処分を受けました。戦後は蒲生秀行に預けられ、会津へ赴きました。その後、慶長9年（1604年）正月に父と共に駿府に召し出され、徳川家康に拝謁して罪を許されました。同年4月26日には、徳川秀忠の将軍宣下に供奉するため上洛しました。

慶長18年（1613年）に父・直頼が死去すると、その後を継いで常陸麻生藩の第2代藩主となりました。この際、父の旧領から2万7,300石を相続しましたが、そのうち3,000石を弟の直房に分与しています。

家督相続後、直定は大坂の陣に徳川方として従軍しました。慶長19年（1614年）の冬の陣では、酒井忠世の部隊に属し、松平信吉と共に今里に築かれた附城の守備を務めました。翌慶長20年（1615年）の夏の陣でも同じく酒井忠世の指揮下に入り、天王寺・岡山の戦いに参加しました。同年5月7日の最終決戦では、大坂城内へ突入し、13の首級を挙げるという武功を立てました。

元和2年（1616年）12月には、幕府の奏者番に任じられました。しかし、元和4年（1618年）に死去しました。享年57でした。

系譜

父: 新庄直頼
母: 佐久間盛重の娘
正室: 日野資友の娘
子: 新庄直好、新庄直之、新庄直治、その他女子二名

参考文献

『寛政重脩諸家譜』
『戦国人名辞典』

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