宗砌

宗砌（そうぜい）は、室町時代中期に活躍した連歌師です。至徳3年（1386年）頃に生まれ、享徳4年（1455年）に没しました。俗名は高山民部少輔時重といい、山名時熙・持豊（宗全）父子の家臣として仕えました。

生涯において、宗砌は詩や和歌を好んだ山名時熙に重用され、連歌を梵灯に、和歌を正徹に師事しました。出家の時期や事情ははっきりしていませんが、梵灯が亡くなった応永末年（1427年頃）には高野山で生活していました。

永享5年（1433年）には、将軍・足利義教が山名常熙を奉行として行った北野法楽の一万句連歌に宗砌も参加しました。また、同年10月には草庵を新しく建て、正徹や山名持豊らと歌会を催しました。永享12年（1440年）にも北野法楽万句に参加するなど、連歌師としての活動を精力的に行いました。

嘉吉元年（1441年）に足利義教が殺害されると、山名持豊が赤松満祐を討つ嘉吉の乱が勃発しました。この頃から宗砌は、智蘊、忍誓、日晟、専順、行助といった当時の代表的な連歌師たちと連歌会を頻繁に開くようになり、文安2年（1445年）には十五夜に「月千句」、冬には「雪千句」を共に行いました。宗砌は連歌会で発句を多く詠むようになり、文安年間には中心的な役割を担っていました。

文安5年（1448年）には、北野神社連歌会所奉行に任命され、連歌宗匠の称号を許されました。さらに、享徳元年（1452年）には一条兼良が連歌新式の改訂を行う際に協力しました。

しかし、享徳3年（1454年）に主君・山名宗全が没落すると、宗全に従って但馬に下向し、翌享徳4年（1455年）に亡くなりました。

宗砌は連歌師として高い評価を受けており、『新撰菟玖波集』では、心敬に次いで2番目に多い入集句数を誇ります。また、連歌論書として『初心求詠集』、『古今連談集』、『花能万賀喜』、『蜜伝抄』などを著し、句集には『宗砌句集』があります。

晩年には、宗祇が弟子入りしており、山名氏の家臣団にも太田垣朝説など、宗砌の弟子がいました。彼らを通して、宗砌の教えは慶長末頃まで伝えられました。

宗砌の出自については、大和国添下郡鷹山庄（現在の奈良県生駒市高山町）の領主であった高山氏の出身で、高山頼栄の次男とする説があります。また、宗砌がわび茶に通じ、村田珠光の依頼で茶筌を考案したという伝承がありますが、これは事実ではないと考えられています。

宗砌は、連歌の世界において重要な足跡を残した人物であり、その作品や思想は後世に大きな影響を与えました。連歌師としての活動だけでなく、連歌の理論をまとめた著作は、当時の連歌の発展に大きく貢献しました。

参考文献
* 奥田勲『連歌史―中世日本をつないだ歌と人びと』勉誠出版、2017年。ISBN 978-4-585-29135-0。

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