新旭駅 (江若鉄道)

滋賀県高島市新旭町に存在した江若鉄道新旭駅

概要

新旭駅は、かつて滋賀県高島市新旭町北畑にあった江若鉄道の駅です。1931年1月、安曇川駅と近江今津駅間の開通に伴い開業しました。開業当初は新儀駅という駅名でしたが、1955年に新旭町合併により改称されました。1969年10月31日の江若鉄道全線廃止に伴い、翌11月1日に廃駅となりました。

歴史

江若鉄道安曇川-近江今津間は、当初1930年8月末の開通予定でしたが、安曇川橋梁の架設工事に遅延が生じたため、開業は翌年にずれ込みました。新旭駅（当時は新儀駅）は、この路線延伸開業と同時に誕生しました。それから約40年間、地域住民の足として活躍しました。その後、江若鉄道の経営悪化により全線が廃止され、新旭駅も歴史の幕を閉じました。

駅構造

新旭駅は、相対式ホーム2面2線を持つ交換駅でした。旅客営業の他に貨物扱いも行っており、側線や貨物上屋を備えた、有人駅でした。駅舎の具体的な構造については、現存する資料が限られており詳細な情報は少ないですが、当時の写真から、簡素ながらも機能的な駅舎であったことが推測されます。

利用状況

開業から数年間にわたる年間乗降客数と貨物取扱量に関する具体的なデータは、現時点では入手困難です。しかし、文献や地元住民の証言などから、地域の経済活動や生活を支える重要な拠点であったと推測されます。特に、周辺に町役場や学校、銀行などの公共施設や商店が集積していたことから、利用客は一定数いたとみられます。

駅周辺

新旭駅は、新旭町の中心部に位置していました。駅周辺には、町役場や中学校、銀行などの公共施設に加え、商店なども集まっていました。しかし、駅舎のすぐ近くには人家は少なかったようです。現在、江若鉄道の廃線跡地は、湖西線新旭駅から約500m南方に位置し、大津第一交通高島営業所が建設されています。周辺の開発は進み、かつての面影は僅かに残るのみです。

隣の駅

江若鉄道安曇川駅 - 新旭駅 - 饗庭駅

参考文献

今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳』 9 関西2、新潮社、2008年
大津市歴史博物館 編『企画展 ありし日の江若鉄道 ―大津・湖西を結ぶ鉄路（みち）―』大津市歴史博物館、2006年
大津市歴史博物館 編『江若鉄道の思い出 ありし日の沿線風景』サンライズ出版、2015年
竹内龍三「私鉄車両めぐり(70) 江若鉄道」『鉄道ピクトリアル』第17巻第1号、鉄道図書刊行会、1967年
寺田裕一『新 消えた轍 ―ローカル私鉄廃線跡探訪―』 8 近畿、ネコ・パブリッシング、2010年
* 「江若鉄道 その車輛・列車・歴史・駅をめぐる」『レイル No.84』エリエイ/プレス・アイゼンバーン、2012年

まとめ

新旭駅は、江若鉄道の歴史を語る上で重要な駅の1つです。その存在は、地域の変遷と密接に結びついており、地域の活性化に貢献しました。廃線後も、その歴史は人々の記憶の中に、そして文献資料の中に大切に保存されています。かつての賑やかだった駅の様子を想像しながら、その歴史に思いを馳せることができます。現在、駅跡地は新たな用途に利用されていますが、かつて駅があった場所を訪れることで、地域の過去と現在を繋ぐことができます。

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