新潟大停電

新潟大停電とは

2005年12月22日から23日にかけて、新潟県下越地方を中心に広範囲で発生した大規模停電です。この停電は、正式な名称こそありませんが、報道機関などで「新潟大停電」と呼ばれることが多いため、本記事でもこの名称を使用します。「新潟停電」とも呼ばれます。

停電の概要

発生日時: 2005年12月22日午前8時10分頃から23日午後3時10分頃まで（全面復旧まで約31時間）
影響範囲: 新潟県内の30市町村（当時の名称）
特に被害が大きかったのは、村上市、阿賀町などの県北地域
新潟市など大半の地域は22日中に復旧しましたが、一部地域では翌日にかけて停電が続きました。
阿賀町では、送電線の復旧後も暴風雪による配電線の切断の影響で復旧が遅れました。
最大停電戸数: 約65万戸（うち下越地方が64万戸）

停電の原因

停電の原因は、以下の複合的な要因によるものです。

1. 気象条件: 多量の湿った雪を伴う非常に強い風が広範囲で発生。
2. 塩害: 海塩粒子を含む雪が電線や碍子に付着し、絶縁不良が発生。
3. ギャロッピング現象: 強風により送電線が揺れ、接触してショートが断続的に発生。
4. 連鎖的な故障: これらの故障が、新潟変電所や北新潟変電所につながる送電線で短時間に相次いで発生し、広範囲に拡大。
5. 発電所の停止: 新潟火力発電所と東新潟火力発電所も停止し、停電が発生。

一部報道では、県内366の送電線路のうち44線路で塩害やギャロッピングが発生したとされています。

被害状況

停電は、人々の生活に大きな影響を与えました。

道路: 約1160基の信号機が停止し、交通渋滞や交通事故が発生。
鉄道:
JR新潟駅では予備電源が一時故障し、駅舎が暗闇に包まれました。
上越新幹線を含む県内全線で列車の運行が一時停止。ダイヤが大幅に乱れました。
信越本線では、列車のパンタグラフに雪が付着して動けなくなるなどのトラブルも発生しました。
越後線でも、信濃川橋梁の風力計が規制値を超えたため、運転を見合わせるなどの混乱がありました。
越後湯沢駅では、北陸方面への旅行者が旅行を中止せざるを得ない状況となりました。
流通:
ガソリンスタンドはポンプが作動せず、コンビニやスーパーではレジが使えなくなり、営業を一時停止しました。
金融機関:
郵便局や銀行のATMが終日使用不能となりました。
行政:
県や市の公式ウェブサイトが閲覧不能になりました。これは、庁舎内のサーバーが停電でダウンしたためです。
その他:
エレベーターへの閉じ込め事故が発生し、消防が出動しました。
県内の学校は休校措置が取られました。
一部住宅で水道が出にくくなったり、マンションなどで断水が発生しました。
暖房器具や消雪パイプが使用できず、雪や寒さによる被害が拡大しました。
一部スーパーやホームセンターでは、懐中電灯や電卓を使って営業を続けました。
家電量販店では、停電時に必要な商品（懐中電灯、乾電池、石油ストーブなど）を販売しました。
エフエム新津は自家発電装置で放送を続け、災害情報を伝え続けました。

対策

この停電を受け、東北電力は以下の対策を実施しました。

ギャロッピング対策:
相間スペーサーの設置を進め、送電線同士の接触を防ぐ。
より性能の高い「ルーズスペーサー」の導入。
碍子対策:
碍子の交換。
碍子への雪付着防止のための樹脂塗布。

これらの対策により、同様の停電の再発防止が図られました。

関連情報

2006年8月14日首都圏[[停電]]: 類似の大規模停電事例
平成18年豪[[雪]]: 同じ年に発生した大雪災害

外部リンク

新潟県内の停電の原因と再発防止対策について（東北電力）
新潟県内の停電の復旧について（東北電力）
新潟県議会：平成17年12月定例会

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