新納久饒

新納久饒（にいろ ひさあつ）は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将で、島津氏の家臣として活躍しました。薩摩国隈城の地頭を務め、その生涯は激動の時代と重なります。

生い立ちと初期の活躍

天文16年（1547年）、新納氏の庶流である新納康久の次男として誕生しました。新納氏は島津氏の有力な家臣団の一つであり、久饒もまた武将としての道を歩むことになります。

若い頃から龍造寺氏や阿蘇氏との戦いに参加し、武功を重ねました。特に天正13年（1584年）の肥後国合志城攻略戦では、その武勇を発揮し、大きな功績をあげています。この戦いでの活躍は、彼の武将としての才能を示すものでした。

琉球への使者と文禄の役

天正18年（1590年）、島津義久が豊臣秀吉から琉球征伐の命を受けると、久饒は義久の命により琉球への使者として派遣されました。この任務は、島津氏と琉球との関係において重要な役割を果たしました。

文禄3年（1594年）には、文禄の役で島津忠恒が朝鮮へ渡海する際、兵糧の調達を担当しました。戦地では食料不足が深刻な問題となる中、久饒は兵糧を確保し、飢えに苦しむ軍勢を救うという重要な役割を果たしました。彼の献身的な働きは、島津軍の戦力維持に大きく貢献しました。

キリスト教との関わり

新納久饒は、キリスト教との関わりがあったことでも知られています。フランシスコ・ザビエルが日本での布教活動のために薩摩を訪れた際、久饒の父である新納康久の居城・市来鶴丸城に立ち寄ったとされています。その際、久饒は母や弟の旅庵とともにザビエルから洗礼を受けたと伝えられています。このことは、当時の日本におけるキリスト教の受容の一端を示す出来事として重要です。

長寿を全うし死去

戦国時代という激動の時代を生き抜いた新納久饒は、寛永元年（1624年）に78歳で死去しました。乱世の中で長寿を全うし、その生涯は多くの人々に影響を与えました。

新納久饒は、武将としての活躍はもちろんのこと、外交や兵站といった分野でも優れた能力を発揮しました。また、キリスト教との関わりは、当時の社会や文化を考察する上で重要な手がかりとなります。彼の生涯は、戦国時代から江戸時代初期という変革期を生き抜いた一人の武将の姿を鮮やかに描き出しています。

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